| Telephone 025・048 |
 |
電話番号のこれから〜IP電話の波〜
 |
| 【従来の電話網】 ひとつひとつの電話機が直接、NTTの電話局(交換局)につながり、電話局を中心にNTTの電話網、KDDIや日本テレコムなどのNCC(New
Common Carrier:新電電)電話網を介する「樹形図」のシステム。通話する時は、1つの回線が有効になる。 |
 |
| 【IP電話網】 NTTの電話局(交換局)を介さず、公衆インターネット網、専用IP網を用いる「環状図」のシステム。インターネットに接続されていれば、最低限の通話は確保できる。また、各種IP電話サービスにより、接続方法が異なる。 |
情報通信技術(ICT)の技術革新は目紛るしく、固定電話網に大きな変革がもたらされようとしている。
大きな変革とは、「IP電話」(インターネットプロトコル電話)の登場である。「IPフォン」などのサービス名で多くのプロバイダーがサービスを展開している「IP電話」とは、簡単に言うと、音声データをデジタルパケット(小包)化し、そのパケットを公衆インターネット網、専用IP網に経由させて通話する通信網のことで、従来の固定電話回線網よりも料金が低廉なことが大きな特徴に挙げられる。これは、従来の固定電話回線網ではひとつの通話を成立させるため、ひとつの回線を占有するのに対し、IP電話網では、ネットワークを共有するため、距離体系も関係なくなり、同一ネットワーク(同一プロバイダー)では通話料さえ無料になるからである。
2002年(平成14年)には、IP電話が従来の固定電話や携帯電話とも通話できるように、「050-CDEF-GHJK」の11ケタの番号が付与され、主にADSLでのIP電話サービスが本格的にスタートした。その後、ADSLに比べてより高速・大容量の光ファイバー(FTTH)が普及しはじめ、光ファイバーによるIP電話も登場した。これをADSLなどのIP電話と区別するため、「光IP電話」と区別することもある。「光IP電話」には、固定電話と同じ「0ABCDEFGHJ」の10ケタ番号が付与される。
では、「050-CDEF-GHJK」のIP電話と「0ABCDEFGHJ」の光IP電話とでは、付与される番号以外にどんな違いがあるのだろうか。
FTTH IP電話(光IP電話)
0ABCDEFGHJ |
従来の固定電話網を代替できる性能(通話音質が従来の固定電話網と同等程度で、110や119なとの緊急通報にも対応できる) |
ADSL IP電話
050-CDEF-GHJK |
従来の固定電話網に付加される性能(通話音質が携帯電話と同等程度で、110や119なとの緊急通報には対応できない) |
今後、光ファイバー網が普及すると、従来の固定電話網は、IP電話網に移行していくことは間違いないだろう。電気通信業界の巨大企業「NTTグループ」をはじめ、電気通信事業者のIP化へ向けた動きが活発である。
- NTT:2010年(平成22年)までに3,000万回線(固定電話の半数)を新IP網に切り替え、将来は全固定電話網をIP化(2004年11月公表)
- KDDI:2007年(平成19年)度末までにIP化を完了させ、中継交換機を撤廃(2004年9月公表)
IP化されていく固定電話網の電話番号は、どうなっていくのだろうか――。その答えは、総務省の「IP時代における電気通信番号の在り方に関する研究会」の報告書に見いだすことができる。
- 電気通信番号の役割の見直し
- 現在番号が担う役割のうち、サービス識別、通話品質の識別、社会的信頼性の識別については、今後も引き続き維持していくことが必要
- 固定電話番号の地理的識別・番号区画については、一定程度の地理的識別は維持すべきであるが、番号区画についてどの程度の広さ・数が適当であるか検討が必要。また市町村合併に伴う行政区域と単位料金区域を一致させる見直しにあわせて番号区画の変更・統合が行われることが適当
- 通話料金の識別については、ニーズは低下しつつあるが、アナログ電話とIP電話が併存する過渡期、サービス間の料金格差がある場合には識別できることが求められる
- 固定電話番号については、市外局番が同一の場合、番号区画を越えて閉番号ダイヤル化を実施すべきかどうか、今後検討が必要である
- 固定電話番号は長年にわたり国民に親しまれてきた番号であり、国民生活の混乱を招かないよう配慮しつつ見直していく必要がある
- 新しいサービスの番号
- 具体的なシステムイメージが明確となった時点で、サービスの特徴を考慮し、検討が必要
- 個人番号的な利用についても必要に応じて検討が必要。個人番号的に利用される番号については、競争状況等を十分に勘案し番号ポータビリティの導入の是非について検討が必要
- FMC(Fixed and Mobile Convergence:携帯電話端末を家庭やオフィス内では固定通信網に接続して使用し、屋外では移動通信網に接続して使用するサービス)については、今後早期に研究会等を開催し、具体的なシステムイメージを明確にするとともに、利用する番号について検討することが適当
|
固定電話網は、IP化されても「長年にわたり国民に親しまれてきた番号であり、国民生活の混乱を招かない」ことを前提に、地理的識別・番号区画については、「一定程度の地理的識別は維持すべき」としているが、番号区画についてどの程度の広さ・数が適当であるか検討を進め、「市町村合併に伴う行政区域と単位料金区域を一致させる見直しにあわせて番号区画の変更・統合」が適当とされている。
また、これより先の2000年(平成12年)6月に開催された「平成11年度電気通信番号に関する研究会」の報告によれば、固定電話網の電話番号が不足し、対策が必要とされた地域は11にものぼる。
「平成11年度電気通信番号に関する研究会」での電話番号の不足が考えられる地域
| 逼迫する時期 |
市外局番 |
都県 |
区域 |
| 2008年(平成20年)頃 |
042 |
埼玉 |
所沢 飯能 |
| 東京 |
立川 国分寺 武蔵野三鷹 八王子 青梅 |
| 神奈川 |
相模原 |
| 048 |
埼玉 |
川口 熊谷 浦和 草加 |
| 2009年(平成21年)頃 |
082 |
広島 |
広島 呉 三次 東広島 庄原 千代田 安芸吉田 加計 廿日市 |
| 山口 |
柳井 久賀 岩国 |
| 2011年(平成23年)頃 |
045 |
神奈川 |
横浜 |
| 2013年(平成25年)頃 |
022 |
宮城 |
仙台 迫 岩沼 大河原 白石 石巻 気仙沼 築館 古川 |
| 2016年(平成28年)頃 |
047 |
千葉 |
市川 鴨川 大原 館山 柏 船橋 茂原 東金 成田 佐原 銚子 八日市場 |
| 2019年(平成31年)頃 |
076 |
石川 |
小松 加賀 鶴来 金沢 七尾 羽咋 輪島 能都 |
| 富山 |
福野 富山 魚津 高岡 |
| 2021年(平成33年)頃 |
088 |
高知 |
土佐中村 宿毛 窪川 土佐清水 嶺北 室戸 安芸 土佐山田 高知 佐川 須崎 |
| 徳島 |
鴨島 脇町 阿波池田 阿南 丹生谷 牟岐 小松島 徳島 |
| 2023年(平成35年)頃 |
029 |
茨城 |
水戸 鉾田 高萩 常陸太田 常陸大宮 大子 笠間 下館 水海道 龍ヶ崎 土浦 石岡 潮来 |
| 095 |
長崎 |
平戸 佐世保 諫早 島原 長崎 大瀬戸 福江 有川 |
| 佐賀 |
佐賀 武雄 鹿島 唐津 伊万里 |
| 2025年(平成37年)頃 |
027 |
群馬 |
前橋 高崎 伊勢崎 藤岡 富岡 太田 桐生 沼田 長野原 渋川 |
この中でも、042は所沢が04に、047は柏と鴨川が04に既に変更されています。今後、横浜の045や埼玉の048も、04-5CDE-FGHJや04-8CDE-FGHJに変更されるかもしれない。
しかし、技術革新の激しい電気通信業界であるから、1999年(平成11年)度の情勢からは大きく変化している。例えば、ISDNが主流となると考えられていたのが、今ではADSLやFTTHが主流になり、ISDNの普及を前提とした固定電話網の番号計画も変更を余儀なくされている。そこで、「IP時代における電気通信番号の在り方に関する研究会」でも、固定電話網の番号計画が検討された。
「IP時代における電気通信番号の在り方に関する研究会」での電話番号の不足が考えられる地域
| 都府県 |
区域 |
市外局番 |
市内局番 |
| 2008年(平成20年)頃 |
| 東京 |
国分寺 |
042 |
30E〜39E・40E |
| 東京 |
立川 |
042 |
50E〜59E・80E・84E |
| 2010年(平成22年)頃 |
| 福島 |
喜多方 |
0241 |
2E・3E |
| 神奈川 |
相模原 |
042 |
70E〜79E・81E・85E・86E |
| 2015年(平成27年)頃 |
| 福島 |
柳津 |
0241 |
4E・5E・9E |
| 東京 |
武蔵野三鷹 |
0422 |
2E〜9E |
| 東京 |
武蔵野三鷹 |
042 |
42E〜49E |
| 大阪 |
寝屋川 |
072 |
30E・38E・39E・80E〜89E |
| 大阪 |
岸和田貝塚 |
072 |
42E〜49E |
| 大阪 |
茨木 |
072 |
60E〜69E |
| 大阪 |
池田 |
072 |
70E〜79E |
| 大阪 |
八尾 |
072 |
92E〜99E |
| 2025年(平成37年)頃 |
| 福島 |
田島 |
0241 |
6E・9E |
| 大阪 |
堺 |
072 |
20E〜29E・31E〜37E |
IP電話の普及、新規事業者の参入によって、番号ポータビリティ(事業者を変更しても電話番号を変更しなくても済む。携帯電話では2006年(平成18年)10月から導入予定)の方法によって、異なる結果がもたらされた。番号ポータビリティによりひとつの電話機に2つの番号を付与すると、番号を11ケタ化などしないと、番号が不足するとの予測結果が出たが、番号ポータビリティを実施しない場合でも、右の区域で番号が不足し、市外局番を2ケタにするなどの対策が必要となる結果が出ている。
10年後、20年後の電気通信業界を予測するのは難しく、今から約20年前は日本電信電話公社(電々公社)が民営化され、NTT(日本電信電話株式会社)が発足した時期だと考えれば、10年後の予測さえ難しいだろう。
けれども、自宅の固定電話、勤務先の固定電話、個人所有の携帯電話、勤務上の携帯電話と、ひとりあたりの電話番号の保有数は、間違いなく増えていく。
それでも、固定電話をはじめとする「長年にわたり国民に親しまれてきた番号」である電話番号は、市外局番、市内局番のケタ数の変更はあるにせよ、抜本的かつ大規模な番号変更は実施されないだろう。それは、1999年(平成11年)1月に実施させた携帯電話の11ケタ化の際の混乱が決して小さなものではなかったことからも、裏付けられるだろう。
ただ単なる番号でしかないのに、固定電話では「地域アイデンティティ」さえ示す電話番号。電話番号は不思議な力をも持っていることは間違いない。
|