トップplus+上々≠ネ旅V 2007〔のぞみ19号〕
〔のぞみ19号〕
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JôJô Tour 2007

東京から一番近い
「ディーゼル特急」の姿を求めて、
初冬の飛騨路を駆け抜ける

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 富山駅南口駅舎。新幹線が開業すると、この駅舎は姿を消すのだろうか。
 富山駅南口の東側には富山地方鉄道の富山駅が併設されている。
 富山駅北口駅舎。新幹線開業までの暫定的な駅舎なので、とてもシンプルな造りとなっている。
 富山駅北口近くの建物には、北陸新幹線の整備促進を訴えるのぼりが下げられている。
 富山ライトレールの富山駅北駅。
 TLR0600形電車7編成のうちの1編成、TLR0601は赤がアクセントとなる。
 12月だけあって、TLR0601はクリスマスリースのスペシャルカラーで街を彩る。
 ホームと車輌の段差はほぼない。ライトレールの名にふさわしい。
 TLR0601の車内もクリスマスリースが飾られ、つり革にはリボンが飾られ、クリスマスムードが漂う。通常運行の車両で、こんな素敵な車輌に出会ったことはない。
 TLR0600形電車の運転台。機能的な運転台に、従来の「路面電車」の面影はない。
 TLR0600形電車の車内。ボックスシートは少し段差があるが、車内はフラットとなっている。まさにバリアフリーの見本である。
 宵闇に浮かぶ岩瀬浜駅。
富山駅北発岩瀬浜行
0.0 富山駅北 14:30発
0.4 インテック本社前 14:32発
1.1 奥田中学校前 14:35発
2.0 下奥井 14:36発
2.8 粟 島 14:39発
3.2 越中中島 14:40発
4.2 城川原 14:43発
4.6 犬島新町 14:44発
5.4 蓮 町 14:45発
6.1 大広田 14:50発
6.6 東岩瀬 14:51発
7.2 競輪場前 14:52発
7.8 岩瀬浜 14:54着

ライトレール

 富山駅の駅ビルで食事を済ませ、駅前周辺を散策した。富山駅は、モータリゼーションが著しく進展した地方都市に於いては珍しく軌道系交通機関が発達している。富山駅南口駅舎の東側には、富山地方鉄道富山駅が並び、平日の昼間だけに人通りは疎らである。駅前には同じく富山地方鉄道の路面電車が走っている。

 さらに、新しく「富山ライトレール」が2006年(平成18年)から営業を始めている。この富山ライトレールは、JR富山港線をライトレール化したもので「ポートラム」の愛称を持つ。

 ライトレール(Light Rail Transit)は、軽量軌道交通と訳され、都市内の新しい交通機関として注目されている。「路面電車」とも混同されがちだが、バリアフリーが整備された低床型路面電車のシステムをライトレールと指す。

 北陸新幹線富山駅高架工事により、現在の富山駅を北側に仮移設する必要が生じ、富山港線の存廃が問題となり、富山市は「公設民営」で富山港線の存続を決め、富山港線の設備を活用してライトレール化することとした。軌道など地上設備の整備は富山市が主体となり、路線の運営は第三セクターの富山ライトレール株式会社が担う。現在の富山駅北−奥田中学校前間が道路上を走行する併用軌道で、奥田中学校前−岩瀬浜間は富山港線の軌道をそのまま活用した。

 さらに、併用軌道区間にはインテック本社前、併用軌道と鉄道との境界付近に奥田中学校前、鉄道区間に粟島(大阪屋ショップ前)、犬島新町の4駅を新たに設置した。既存の駅もライトレールに対応するように改築に近い形で整備された。それも2006年(平成18年)2月28日を最後にJR富山港線としての運行を停止してその年の4月29日にライトレールとして開業している。つまり、わずか2ヶ月弱の間にライトレール化されたのだから、JR富山港線時代に工事を進めていたとはいえ相当スムースな形態変更である。

「かわいい」電車

 富山駅周辺の散策も終え、新たに整備された「富山駅北」駅に向かった。富山駅北駅は3面2線のホームを有し、JR富山駅北口駅舎から段差なしでホームに達することができる。

 日中時間帯の富山駅北発の岩瀬浜行電車は、毎時00分、15分、30分、45分発に統一されている。これは、JR富山港線時代に比べ大幅に増発されていて、“覚えやすい”ダイヤとなった。岩瀬浜から来た富山駅北行の電車がちょうど到着した。想像していたよりも、降りてくる利用客が多い。

 なにより驚いたのは、到着したTLR0600形電車である。クリスマスに合わせて、クリスマスリースを模したラッピング車輌となっている。これがまた「かわいい」。正直に言って大きな衝撃を受けた。和歌山電鐵が「いちご電車」を走られているというが、それに負けないほどである。そして、もう一つの衝撃は車内に乗り込んで受けた。それは、つり革にクリスマスのリボンがついているのである。多くの車輌(バスを含め)に乗ってきたと思うが、「つり革にリボン」は今まで見たことがない。新しい車輌だからできることだろうが、この「細やかな気配り」は、他の鉄道事業者は見ならうべきだろう。ただでさえ地方の鉄道は苦境に立たされている。それは「モータリゼーション」によって、「私」の自家用車の利便性も快適性も「公」の交通機関のそれに比べ優っているからで、「公」の交通機関には、利用客の「ちょっとした気分の高揚」をもたらすような仕掛けが必要なんだと、このリボンを見ながら感じてしまった。

 14時30分に岩瀬浜行の電車が発車した。とはいえ、駅前交叉点の信号で早速停止する。信号が進行を現示し、自動車に注意しながら右へ進む。すると、新しい駅・インテック本社前駅に到着する。このインテック本社前駅は「牛島新町」が仮称だったが、命名権(ネーミングライツ)をインテックが買い取り、インテック本社前との名称になった。この命名権は永年契約であるという。果たして、インテック本社が移転するときはどうするのか。都立大学がない都立大学駅のようになってしまうのか。

 富山市道綾田北代線の中央部にある併用軌道を東に進み、奥田中学校前駅の手前で、左に曲がり、鉄道区間に入る。車内は8割程度の座席が埋まる程度だ。車輌が小さくなったとはいえ、運行本数が増えているので、8割程度の乗車率は乗客数が増えているのではないだろうか。

 TLR0600形電車の車内高が低いからか、車窓も違って見える。東京都電のような車窓の高さといったらいいだろうか。下奥井から先は、粟島、犬島新町を除いて、JR富山港線時代から存在した駅なのだが、ホーム部分を中心に改築されており、全くの新規開業ともいっていいくらいである。地方都市部での鉄道事業「再生」策には大いに参考になるだろう。

 富山ライトレールは、全線均一の運賃制度を採用しており、降車時に200円(大人)を支払う。富山ライトレールでは非接触型ICカード「passcaパスカ」が導入されており、いわばSuica・ICOCAのような乗車券システムとなっている。passcaを使うと運賃が160円に割り引かれるため、乗客の多くがpasscaを使っているようだ。そのためか、乗降は非常にスムースで、事前にきっぷを購入することもなく、小銭を用意したり両替する必要もなく、降車口に2台設置されたリーダーに軽くタッチすればよく、乗降がスムースになったようだ。

 粟島には「大阪屋ショップ前」の副名称が付され、これも命名権によって付された。富山ライトレール開業前に、奥田中学校前、犬島新町も命名権が公募されたがこちらには応募がなかったという。

 14時54分、岩瀬浜駅に到着した。「駅」といっても改札口も何もない。あるのはホームにベンチ。従来の駅とは全く異なる空間が広がる。ただ「駅」という自己主張は弱くなっているが、路上から無段差で列車に乗ることができるのはまさに「バリアフリー」の最たるものである。

 岩瀬浜駅からはフィーダーバスが出ている。これも富山ライトレールが運行しており、第三セクターでこのようなバスまで運行しているような事業者は類を見ないのではないだろうか。岩瀬浜からのフィーダーバスは富山湾岸沿いに常願寺川を渡った水橋漁港まで運行されている。この他に、蓮町からも神通川を渡って四方方面を結ぶバスが運行されている。これらのフィーダーバスでは、passca利用でライトレールとの運賃が割り引かれる。非接触ICカード乗車券のシステムを最大限に活用した料金制度といえよう。

岩瀬浜発富山駅北行
0.0 岩瀬浜 17:46発
0.4 競輪場前 17:47発
1.0 東岩瀬 17:48発
1.5 大広田 17:50発
2.2 蓮 町 17:51発
3.0 犬島新町 17:52発
3.4 城川原 17:57発
4.4 越中中島 17:58発
4.8 粟 島 18:01発
5.6 下奥井 18:02発
6.5 奥田中学校前 18:05発
7.2 インテック本社前 18:07発
7.8 富山駅北 18:10着

 岩瀬浜は江戸時代の北前船の海運で栄えた街で、廻船問屋の古い街並みを保存した地区となっていて、観光地化されていない観光地である。国指定の重要文化財にもなっている森家の屋敷は、江戸時代の栄華を伝える建物で、北前船の海運によって岩瀬がどれほど栄えたか知ることができる。

 「観光地化されていない」観光地と表現したが、土産物屋があるわけでもなく、ただひっそりとした観光地を「観光地化されていない」と表現しただけで、土産物屋が並び人々で賑わうような観光地にならずに、今の味わいある街並みを残していってほしい。

 岩瀬浜17時46分発の富山駅北行の電車で富山駅に戻った。この時間帯は、岩瀬浜行電車に乗ったときよりも利用者が多い。サラリーマンの姿まである。地方ではクルマ通勤が絶対的に多いのだが、もしかすると、ライトレールになったことでクルマ通勤から電車通勤に切り替えたのだろうか。車内は通学客を中心に立客まで出るほど混んできた。大広田では岩瀬浜行電車が待ち、城川原と奥田中学校前では富山駅北行電車が待って、列車を交換する。15分のネットダイヤはこれら3駅でのうまい交換で実現している。

 富山駅北へ向かうほど、車内は混んできた。一般的に市街地中心部(この場合は富山駅北)から郊外への電車が夕方には混むはずなのに、人の流れは両方向とも多く、城川原、奥田中学校前で交換した岩瀬浜行電車も混んでいた。これは、市街地内の電車なのだろうか。そうであれば、北陸新幹線が開業し、富山駅が高架化された時には、富山駅南口を走っている富山地方鉄道の路面電車の線路と富山駅北を結んで、直通運行すると駅の南北が結ばれ、利便性は大きく向上するだろう。

逆モータリゼーション

 地方の鉄道は凋落が止まらないと聞く。これは、事業者側の経営努力に責任があるが、それ以上に「モータリゼーション」、マイカーを前提とした社会・経済システムとなっていることに因を求めることができる。しかし、富山ライトレールを見る限りは、うまく再生させることができれば、「逆モータリゼーション」を起こすことができる。「利用しましょう」と呼びかける精神論的なことではいずれ利便性が高いマイカーに移るのは必須で、富山ライトレールのような「装置」を整備すれば、地方鉄道の再生も可能だということを示している。富山ライトレールは、「逆モータリゼーション」が可能であることを証明するかのように、併用軌道を走って、富山駅北に到着した。

 富山ライトレールは、富山駅北−奥田中学校前間が「軌道事業」、奥田中学校前−岩瀬浜間が「第一種鉄道事業」となっており、軌道区間は「電停」と称することが多いが、ここでは軌道期間を含め「駅」と統一した。
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