トップplus+上々≠ネ旅V 2007特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕
〔のぞみ19号〕
〔のぞみ19号〕
〔のぞみ19号〕
〔のぞみ19号〕
〔のぞみ19号〕
〔のぞみ19号〕
JôJô Tour 2007

東京から一番近い
「ディーゼル特急」の姿を求めて、
初冬の飛騨路を駆け抜ける

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 再開された「上々≠ネ旅」は、名古屋駅からスタートする。
 L特急〔しなの5号〕と並んで、特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕が案内される。16分後には北陸本線経由の特急〔しらさぎ3号〕が同じく富山に向かう。
 313系電車は、JR東海の在来線標準電車のように東海エリアで広く導入されている。
 国鉄末期に開発された211系電車は名古屋地区でも活躍している。
 左が〔ホームライナー太多2号〕、右がL特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕。キハ85系気動車同士が並んだ
 1号車〜4号車は高山止まりで運行される。
 江戸時代に建造された国宝犬山城を望むことができる。
 飛騨川沿いに谷間を縫うように進んで行く。
 下呂温泉の玄関口、下呂駅。
 飛騨古川から先へのL特急〔(ワイドビュー)ひだ〕の本数も限られてくる。
 シートを回転して会話が弾む旅行客がいるのも「観光特急」の性格を物語っている。
 貫通扉にあるL特急〔(ワイドビュー)ひだ〕のヘッドマーク。
 2004年(平成16年)の台風23号豪雨により長期間不通となった区間を進で行く。
 猪谷からはJR西日本の区間となる。
 富山に到着したL特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕。
 北陸地方でJR東海の車輌が見られるのは富山駅ぐらいしかない。
 富山駅で車内整備・点検後、折り返しL特急〔(ワイドビュー)ひだ2号〕となる。
1021D L特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕
0.0 名古屋 8:43発
30.3 岐阜 9:00着
9:02発 変更
57.6 美濃太田 9:21着 9:24着
9:22発 9:25発
118.6 下 呂 10:11着 10:14着
10:12発 10:15発
166.7 高 山 10:52着 10:56着
10;56発 10:58発
181.6 飛騨古川 11:09発 11:12発
219.5 猪 谷 11:45着 11:47着
11:46発 11:48発
239.0 越中八尾 12:05発 12:06発
256.1 富 山 12:22着

朝の顏

 名古屋駅は、JR東海の一大ターミナルだけでなく、名古屋鉄道、近畿日本鉄道、名古屋市営地下鉄、名古屋臨海高速鉄道が乗り入れているだけあって、朝のラッシュ時間帯の人波の動きは凄まじい。どちらかといえば、JR線や名鉄線、近鉄線から地下鉄への流れ、東海道新幹線への流れと東海道新幹線からの流れが大きい。

 東京への一極集中で地方が疲弊していくと指摘されている中で、名古屋はトヨタ自動車に代表されるように、好調な経済に支えられ、JRセントラルタワーズ、ミッドランドスクエアなど高層ビルが立ち並ぶ「元気な街」である。

 東京圏ほど高頻度の運行間隔ではないが、名古屋駅の在来線ホームに立っていると、次々に列車が到着し発車していく。その多くが車体にオレンジの帯を巻き、一瞥では何系の車輌なのか、すぐにはわからない。唯一は、湘南色(グリーンとオレンジ)の帯を巻いた211系電車ぐらいが目立つ存在だ。

ディーゼル音もけたたましく

 11番線ホームに上がると、既にL特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕となるキハ85系気動車が入線していた。隣の12番線ホームには、同じくキハ85系気動車で運行される〔ホームライナー太多2号〕が到着し、キハ85系気動車同士が並んだ。2編成も並ぶと、ディーゼル音がけたたましい。ディーゼル音は首都圏ではほぼ聞くことができず(聞けるのはごく一部の貨物列車などに限られる)、まして「ディーゼル特急」のサウンドは聞くことさえ不可能である。

 11番線に停車しているL特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕は、7輌編成で、大阪寄りが1号車、東京寄りが10号車となっていて、5〜7の号車番号が欠番となっている。大阪寄りの1号車〜4号車が高山までの運行、8号車〜10号車が富山まで運行される。

 飛騨地方は中京地域から身近な観光地・行楽地のようで、三々五々乗客が集まってくる。女性同士で温泉に小旅行に出かけるような姿も多い。やはりL特急〔(ワイドビュー)ひだ〕は、ビジネス特急というより、観光特急の性格が強いようだ。首都圏で言えば、特急〔踊り子〕(東京など−伊豆急下田・修善寺間)や特急〔日光〕(新宿−東武日光間)などと同じようである。9時00分発のL特急〔(ワイドビュー)しなの5号〕の入線を待つ乗客もホームにちらほらと見えるようになった。

後ろ向きに出発

 8時43分、L特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕は定刻通りに名古屋駅11番線ホームを出発した。座席方向からすれば後ろ向きに進む。発車前に車掌の車内放送で繰り返し案内されていたが、東海道本線区間では座席方向に対して逆向きに進んでいく。これは、岐阜で方向を変えるためで、岐阜までの17分間の辛抱、というわけである。

 東海道新幹線を左に見て、東海道本線を北西に進んでいく。ディーゼル車とはいえ、加速性能も見劣ることなく、まるで特急電車に乗っているような感じを受ける。加速性能がいいからといって決してディーゼル音が五月蠅く感じるわけでもないからなおさらである。それでも東海道新幹線を走る700系電車はビュンと勢いよく追い抜いていく。

 8号車の指定席に席を陣取ったが、この号車ではほぼ半数程度の席が埋まっているだろうか。この列車が高山方面へ向かうL特急〔(ワイドビュー)ひだ〕の初列車でもあり、ビジネス用務客が皆無というわけではない。

 東海道本線を西進したL特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕は、木曽川の鉄橋を渡り、9時ちょうどに岐阜に到着した。到着前には列車の進行方向が変わる旨の案内もあった。ここでわずか2分間停車して、進路を高山本線に変え、L特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕は険しい山道へ挑む。

隠れた?豪華列車

1 キハ85-8 名古屋

高山
↑岐阜
2 キロハ84-9
3 キハ84-4
4 キハ85-106
8 キハ85-1104 名古屋

富山
9 キハ85-304
10 キロ85-3 ↓名古屋・富山

 このL特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕は、隠れた豪華列車といってもよい。それは、グリーン車が1輌とさらに半室ついていて、都合1.5輌分がグリーン席となっている。岐阜からは先頭車輌となった10号車は3列シートの全室グリーン車、2号車は半室が4列シートのグリーン席である。これは、1号車〜4号車の4輌でも独立して1つのグリーン席連結の特急列車として運行できるように半室のグリーン席がついたからだろう。ただ、先頭車輌の10号車は3列シートで前面展望も楽しめる、まさに列車名に相応しい「ワイドビュー」が堪能できるのに対し、2号車のグリーン席は前面展望もなく4列シートとなっている。しかし、グリーン席には変わりなく、同額のグリーン料金が必要となる。

 それはともあれ、在来線の特急列車でグリーン車が1輌以上連結されているのは、このL特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕と、特急〔スーパービュー踊り子〕、〔踊り子〕ぐらいではないだろうか。特急列車が増発されるとともに短編成化されて、グリーン席さえ用意されていない特急列車が多くなってきたのに、首都圏以外でグリーン席が1輌以上用意されているのは「貴重」というほかない。

奥飛騨へ

 岐阜から高山本線に進路をとったL特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕は、次の停車駅・美濃太田の手前、長森で運転停車した。対向の普通列車(712D)との行き違いである。

 キハ40系気動車が対向するホームに到着すると、L特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕は発車する。2001年(平成13年)まで、名鉄の特急車輌が特急〔北アルプス〕として高山本線に乗り入れていたが、その国鉄(JR)・名鉄の連絡駅だった鵜沼を通過した。この名鉄からの乗り入れ列車は戦前からの歴史があった。これは、戦前から下呂・高山が中京地域の身近な行楽地となっていたことを示しているだろう。

 9時24分に美濃太田に到着した。どうやら、長森での交換で3分程度遅れたようだ。8号車の指定席車では目立った動きもなく、そのまま発車した。

 ここから一気に下呂に向かう。最近の特急列車は10分から20分程度で次々と停車するような「気軽な特急」の傾向が強いが、美濃太田から下呂まで約50分も停車しない。特急列車らしい「走り」を堪能できそうだ。

 それでも、飛騨川沿いの谷間を縫うように進んで行く。高山本線と国道41号線が川筋に沿うように並んでいるが、高速道路は一山筋越えた長良川沿いに走っていて、国道41号線は重要な幹線道路となっている。山あいの川筋に沿うように走っているため、スピードが出せるわけではないが、L特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕はカーブをものともしないように力強く進んで行く。飛騨金山で上りのL特急〔(ワイドビュー)ひだ2号〕を待たせて通過した。

 10時14分、遅れを引きずったまま下呂駅に到着した。温泉地であるだけに、観光客らしい乗客の下車が多い。駅前に「県立温泉病院」それでも、時間帯が早いのでビジネス用務客の下車も目立つ。10時15分、下呂を発車したL特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕は、次の高山に向かう。再び、40分程度も停まらない「特急」らしい走りが始まった。

 飛騨萩原ひだはぎわら駅でL特急〔(ワイドビュー)ひだ4号〕を待たせて列車交換した。L特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕が登ってくるため、下っていく上り列車を停めているのだろうか。

 下呂から先は、どうも線形が悪くなったのか、ジョイント音も短くなって、車輌の揺れもやや大きくなったようだ。けれども、スピード自体は落ちたわけではなく、100km/h近くのスピードを維持しているようだ。

 風光明媚な景色を堪能するには十分すぎるほどの窓の大きさで、「ワイドビュー」の名にふさわしい。先頭車輌の前面展望ではどれほどの景色を堪能できるのだろうか。随所随所で車掌が観光案内を放送している。いかにも「観光特急」らしいサービスともいえる。さらに、座席のポケットには沿線案内のパンフレットが挟まれている。10月1日から12月31日まで、ぎふディスティネーションキャンペーン(JRグループなどによる大型観光キャンペーン)「いい旅 ふた旅 ぎふの旅」が開催されていて、そのキャンペーンもあったのことだろうか。

 10時31分に飛騨小坂ひだおさか駅を通過した。この飛騨小坂駅は木材を搬出するために小さなヤードの跡が残っていた。ここから貨物列車で運ばれていったのだろう。今でも木材が積まれていたが、それはトラックで運ばれていくようだ。

 久々野くぐの駅で普通列車(1741C)と交換すると、高山での切り離しに備えて4号車と8号車の間の貫通扉を閉鎖するという放送が流れた。いよいよ、高山が近づいてくる。

飛騨の小京都

 10時56分、L特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕は高山駅1番線ホームに到着した。到着とほぼ同時に、4号車と8号車の間で切り離し作業が進められているようだ。一方で、車内からドッと観光客らしき乗客が降りていく。高山は、飛騨の小京都と称され、観光地としても著名な地だ。この時間から観光を始めて宿に入ればちょうどいい時間になるのだろう、下呂よりも多くの観光客が降りていく。

 高山市は観光地としても有名だが、日本一大きい自治体としても有名になった。2005年(平成17年)2月に高山市が周辺の9町村と合併して、面積が2,177.67km2と、静岡市を抜いて日本一面積が大きくなった。この面積は日本一小さい都道府県である香川県よりも、大阪府よりも大きい。島嶼部をのぞいた東京都とほぼ同じ面積で、そこに約9万5,000人が住んでいる。しかし、9割以上が森林で可住地は限られているという。

 切り離し作業も終わり、定刻の停車時間4分をおよそ2分に縮め、3輌編成と身軽になった10時58分にL特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕は、10時58分に高山を発った。もう、L特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕の旅も折り返しを過ぎた。美濃太田から連れ添ったように車窓を彩った飛騨川は既に離れ、今度は宮川みやがわが寄り添う。宮川は富山湾に注ぐ神通川の岐阜県内での名称である。

 3輌編成となったL特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕は各車輌とも6割方席が埋まっているようだ。大きな窓から飛び込んでくる車窓は、まさに非日常の世界で、これが旅行の愉しみでもある。

 飛騨古川を11時12分に発ち、飛騨路を進む。ここから先は、2004年(平成16年)10月の台風23号の豪雨災害で、宮川流域では大雨が降り宮川が氾濫、高山本線の路盤や鉄橋が流失した。これにより、長期運休を余儀なくされた。一時、JR東海は路線の廃止さえ検討したという。比較的真新しいコンクリート擁壁によって固められた路盤が災害からの復旧を物語っているようだ。2007年(平成19年)2月に全線で再開通して、L特急〔(ワイドビュー)ひだ〕も富山まで再度運行できるようになった。

 この台風災害でキハ40系気動車2輌が2年半近く取り残された打保うつぼ駅では、ポイント部分にスノーシェルターがある。それほどこの地域では雪が深いようだ。やはり、雪に閉ざされてしまうから、台風豪雨からの復旧も長期に及んだのだろうか。

JR西日本へ

 11時47分、猪谷いのたに駅に到着した。ここでJR東海からJR西日本にバトンタッチされる。向かい側のホームに停まっているキハ40系気動車はいわゆる「JR東海色」で、駅名標がJR西日本様式になった以外は、これといってJR西日本に入った実感はない。そして、ここ猪谷は第三セクター鉄道の神岡鉄道が分岐していたが、2006年(平成18年)11月30日を以て廃止された。神岡鉱山からの硫酸貨物輸送がトラック輸送に切り替えられると、あっという間に廃止されたが、再生計画もあるという。しかし、豪雪地での鉄道再生はそう容易なことではないだろう。

 猪谷は既に富山県に入っている。JRの本州旅客会社の境界と県境が一致している稀なところでもある。以前は婦負ねい細入村ほそいりむらだったが、平成の市町村合併により富山市となっており、ここから終点・富山まで富山市内を走ることとなる。

 猪谷からはまるで坂を下るように鉄路を進んで行く。明らかにディーゼル音がそれまでと違って軽くなっている。おわら風の盆で有名な越中八尾えっちゅうやつおに停まると、次は終点の富山である。車窓は一気に変わり、富山平野に立山連峰が聳えている。これほど車窓が変化するもの珍しいのではないか。

 富山市街の町並みが近づいてくると、車窓もそれまでの田園風景から、家々に変わっていく。富山県が持ち家率が全国一だというが、やはり一戸建ての家が多い。

3時間40分

 いよいよ、富山到着の車内放送が流れ、車内も若干せわしくなった。名古屋からおよそ3時間40分。名古屋から富山まで全区間を乗り通した乗客はどれほどだろうか。

 12時22分、遅れを取り戻し、定刻通りにL特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕は富山駅3番線ホームに到着した。この3番線ホームは以前「西3番線」ホームと呼ばれていただけに、富山駅構内の西側にちょこんと停まるようだ。南口・北口への跨線橋・地下道へはホームを少し歩かねばならない。

 富山駅の北側では、北陸新幹線の開業へ向けた工事が進められていた。どうも、一度在来線を北側に移すため仮ホームを設けるようだ。そのためか、現在の在来線ホームはどこか古びた印象を拭いきれない。しかし、それがまたいい“味”を醸し出しているようにも感じる。一方の乗客が降りたL特急〔(ワイドビュー)ひだ1号〕は車庫に入ることなく、折り返し13時05分発のL特急〔(ワイドビュー)ひだ12号〕となるため、そのまま車内の整備と点検が進められている。

 既に乗客たちは跨線橋を渡り、南口、北口の改札へ向かったようで、昼下がりのホームは静かになった。南口の改札を出て、駅ビル「とやま駅特選館」で昼食をとり、富山ライトレールに向かうことにした。

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