トップplus+上々≠ネ旅V 2007Linimo
〔のぞみ19号〕
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JôJô Tour 2007

東京から一番近い
「ディーゼル特急」の姿を求めて、
初冬の飛騨路を駆け抜ける

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 長めのホームの中央に2輌編成の愛知環状鉄道の2000系電車が乗客を待っている。
 車内はセミクロスシートで、緑色が暖かくまぶしく感じられる。
 愛環の列車運行が一目でわかる。
 車輌の表記には毛筆体で「愛」の字が。
 車内のスピーカーは音響メーカー「BOZE」製のようだ。
 八草駅に到着した2000系電車。
Linimoへの乗り換え通路は閑散としていた。
1162H 普通
0.0 高蔵寺 15:09発
3.4 中水野 15:12発
6.2 瀬戸市 15:15発
8.6 瀬戸口 15:18発
10.7 山 口 15:21発
13.3 八 草 15:24着

愛環

 高蔵寺から愛知環状鉄道(愛環)線で八草に向かう。愛環線は、岡崎と高蔵寺を結ぶ45.3kmの路線で、一部は岡多おかた線を転換した。「環状鉄道」と社名でも名乗っているものの、路線は環状になっておらず、東海道本線・中央本線を結ぶことで「環状」となっている。

 高蔵寺駅はJR東海との共用駅で愛環が独立したホームや駅舎を構えていない。1番線ホームが愛環線専用のホームとなっているが、向かい側の2番線ホームはJR中央本線のホームとなっている。

 1番線ホームに上がると、既に岡崎行の普通列車が停まっていた。ホームには愛環線の列車がどの位置にあるのか運行状況を示す案内板がある。路線図に示された列車位置は一目でわかる。まるで簡易型のCTC(列車中央制御装置)のようだ。JR東海の313系電車によく似た愛環の2000系電車2輌編成である。車内の保温のためか、扉は閉まっている。扉脇のボタンを押すと扉が開く。

 発車まで15分ほどあるが、車内で待つことにした。車内は自分の他に乗客はいない。日中時間帯はこんなものだろうか。セミクロスのボックスシートを独占できる。

静かな車内

 15時01分、2番線に名古屋行の中央本線の快速〔セントラルライナー12号〕が到着し、そこからの乗り換え客が若干乗り込んで、1つのボックスに1人〜2人が埋まる程度となった。

 15時09分、2輌編成の岡崎行の普通列車が発車した。中央本線と離れると、そのまま高架線路に入る。「ローカル」な旅情はあまり感じられないまま、列車は進んで行く。この愛知環状鉄道線が、国鉄岡多線が第三セクター鉄道に転換し、新しく路線を延長して開業した路線だろう。複線の高架橋は、それを深く印象づけてくれるようだ。

 車内を見渡すと、乗客は決して疎らというほどではない。日中は約30分間隔で運行されているのがちょうどいいのだろうか。それでも朝のラッシュ時は最長10輌編成の列車が15分間隔で運行されるようだから、沿線から名古屋市への通勤需要の高さなのか、それとも、トヨタ自動車の本拠地・豊田を沿線に抱えているからだろうか。

愛・地球博の面影

 愛環のエポックメーキングな出来事は、なんといっても2005年(平成17年)に開催された愛・地球博(2005年日本国際博覧会)だろう。

 名古屋から愛・地球博の会場までは2つの鉄道アクセスがあった。その1つが愛環で、快速〔エキスポシャトル〕が名古屋−万博八草(現在の八草)間でJR中央本線に直通運転された。名古屋市営地下鉄東山線から、Linimo(愛知高速交通)もアクセスルートだったが、地下鉄東山線とLinimoの輸送力に差があり、接続駅の藤が丘駅で混雑が予測されることから、名古屋からは「愛環ルート」が勧められた。

 この愛・地球博来場者輸送のために、愛環は車輌を増備した。そして、従来からの100型・200型・300型電車は愛・地球博終了後に廃車あるいはえちぜん鉄道に譲渡された。国際博覧会に車輌増備計画のスケジュールを合わせたというのには驚いた。しかし、過去、国鉄が1985年(昭和60年)のつくば万博(国際科学技術博覧会)の時に、常磐線に万博中央駅を開設したり、1970年(昭和45年)の大阪万博(日本万国博覧会)の東海道新幹線をはじめとする大規模な輸送力増強を振り返れば、愛・地球博への愛環の対応も大袈裟なことではない。

 愛・地球博への輸送を契機に始まったJR中央本線との直通運転は、愛・地球博終了後も続いているところをみると、名古屋市への通勤・通学の利用があることの裏付けなのかもしれない。

 そんなことに思いを巡らせていると、列車は瀬戸市に到着した。瀬戸市駅は名鉄瀬戸線新瀬戸駅とロータリーを共用する。乗り換えのためか、乗降は今までの駅で一番多い。それも乗り込んでくる方が多い。だが、つり革に掴まる乗客が出るほどではない。

 瀬戸市からは単線となる。しかし、線路の脇には既に用地が確保されていて、軌道と架線さえ敷けば複線化できるようになっている。しかし、この日中時間帯の輸送状況を見れば、複線化は決して喫緊の課題ではないようだ。

 瀬戸口、山口と停まり、高蔵寺から15分で八草に到着した。八草は「愛知工業大学前」の副駅名もある駅だ。

 各駅はホームドアが設置されているため、Linimoの車輌をはっきりと見ることができない。
 Linimoのレールの先に、名古屋駅前のJRセントラルタワーズが霞んで見える。
 陶磁資料館南駅近くにある愛知高速交通本社。
 本社には車輌基地も併設され、Linimoが休んでいる。
 愛・地球博記念公園駅には中線がある。公園西駅側にはモノレールのような大規模なポイントである。
 Linimoの始発駅でもあり、名古屋市営地下鉄東山線の終着駅でもある藤が丘駅。
 愛・地球博開催時は「万博会場」駅だったものの、万博終了後は愛・地球博記念公園駅に改称され、さらに副駅名に愛知県立大学前が付いた。
 夕闇迫る中、愛・地球博記念公園(モリコロパーク)の大観覧車をバックにLinimoが進入してくる。
 車内はボックスシートで構成されている。
 Linimoの藤が丘駅は地下にある。
1506
0.0 八 草 15:32発
0.9 陶磁資料館南 15:33発
1.9 愛・地球博記念公園 15:35発
2.9 公園西 15:37発
4.4 芸大通 15:39発
5.5 長久手古戦場 15:41発
6.6 杁ヶ池公園 15:43発
7.5 はなみずき通 15:46発
8.9 藤が丘 15:49着

「リニアモーターカー」

 八草で愛環を降り、乗換口を歩きLinimoリニモに向かった。きょうのメインイベントはこのLinimoといっても過言ではない。やはり、胸がちょっと高鳴る。

 まずは、藤が丘まで通しで乗ってみることとした。15時32分発の列車があるので、早速乗り込んだ。

 Linimoといっているが、正式には「愛知高速交通東部丘陵線」という。とはいえ、Linimoの方が一般的にも通りがいい。Linimoはなんといっても日本初の磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)の常設路線であるのが最大の特徴だ。リニアの技術は既に実用されていたが、「磁気浮上」式の常設路線はここが初めてである。

 わずか3輌編成の100形電車だが、ホームドアの向こうで発車を待っていた。普通の鉄道車輌というより、新交通システムの車輌程度の大きさである。ドアは各車輌に2ヶ所しかなく、乗り込めば「ゆりかもめ」に乗っている印象を受ける。

 運良く先頭車輌の最前部の座席が空いていたので、そこに腰掛けて発車を待った。15時32分、定刻通りに車輌側とホーム側のドアが閉まった。いよいよ「磁気浮上」が始まる。

 ふわっと浮くような感じを受けることなく、静かに動き出した。これが「磁気浮上」なのだろうか。体感的には全く感じることがない。かといって、鉄車輪のような感じでもない。どちらかと言えば、ゴムタイヤ式に近い。ATO(自動列車制御装置)による自動運転で、最前部の座席はまさに展望席の特等席。次の陶磁資料館南駅が近づいてくるのがよくわかる。

 わずか1分ほどで陶磁資料館南駅に着いた。到着の時も沈む感じはない。ほとんど乗降はない。2つのドアが閉まると再度動き出した。左側には愛知高速交通の本社と車輌基地が見え、Linimoが2編成休んでいた。

愛・地球博記念公園

 遠くに大観覧車が見えると、愛・地球博記念公園駅が近くなる。愛・地球博記念公園駅は中線を構える2面3線の駅で、陶磁資料館南駅側は車輌基地からの回送線がそのまま中線となる。

 愛・地球博記念公園駅は、愛・地球博開催時は「万博会場」駅と呼ばれ、まさに愛・地球博長久手会場の北ゲートの最寄り駅で、なんと仮設ホームを建設して、対応していたという。

 その面影を見いだすことは難しく、左手に愛・地球博記念公園がここで愛・地球博があったことを教えてくれる。

 まさに丘陵地帯を進むLinimoは、通常の鉄道では難しいような勾配も難なく上っていく。さすがは磁気浮上式である。通常の鉄道では、トンネルを掘ったり堅牢な高架橋が必要だったかもしれない。しかし、愛・地球博が地球環境をテーマにした国際博覧会であり、環境を破壊せずに交通システムを構築するにはこのようなシステムが適しているのだろうか。

Linimo開業時のエピソード

 2005年(平成17年)3月6日に、愛知高速交通は開業した。日本初の磁気浮上式鉄道の開業は、鉄道ファンだけでなく普段関心のない人の間にも大きなニュースとなった。

 もちろん、「初乗り」を楽しむ鉄道ファンが詰めかけたが、みんな狙いは先頭車の最前部。だから、先頭車輌は通勤ラッシュ並みの大混雑だったという。それだけ人が乗り込んでしまったら、浮上させる磁気の力よりも重量の方が勝ってしまい、浮上せず動かなくなってしまったという。さすがに重量が勝つとは想定していなかったのか、結局、一部の人に降りてもらい無事に運行できたという。

 それでも、愛・地球博開催時には乗客の重量で動かないことはニュースにならなかったので、開業時の混雑は相当なものだったのだろう。

地下へ

 眼下に猿投さなげグリーンロード、それに続く愛知県道6号線力石名古屋線の片側2車線の道路が並行する。長久手古戦場駅は、駅名からして「小牧・長久手の戦い」の古戦場の最寄り駅である。小牧・長久手の戦いは1584年(天正12年)に羽柴秀吉(豊臣秀吉)と織田信雄(信長の次男)・徳川家康との間での戦役で、秀吉と信雄・家康との間で和睦が結ばれたことから戦役は終わったが、秀吉はこの戦いで家康の力を思い知らされたという戦いだったという。確かに戦国時代の幾多の戦いの中でも日本史の教科書に登場するほど有名な戦いである。

 戦国時代に思いを馳せながら、“近未来”的な乗り物に乗っている不思議さを感じてしまう。杁ヶ池公園いりがいけこうえん駅を過ぎ、はなみずき通駅が近づく頃になると、それまでの丘陵地帯から宅地へと姿を変える。

 はなみずき通駅は、高架橋を降りたほぼ地上に設置に設置された駅で、その先にはトンネルが見える。はなみずき通駅ではLinimoの制服を着た係員が乗り込んできた。ここからどうもトンネル区間に入るらしい。

 はなみずき通を発ったLinimoは、そのままトンネルに入っていった。トンネルは鉄道のそれとは少し異なり、待避用と思われる通路がレールに沿ってあり、蛍光灯の列が続いている。磁気浮上式でトンネルまであるのに驚いた。

 藤が丘駅のホームの灯りが近づいてくると、もうLinimoの終点は近い。藤が丘駅が地下駅なのには驚いた。これは、名古屋市営地下鉄東山線との接続を考慮してのことだろうか。八草から17分、最高速度はどれほど出ていたのかはわからないが、あっという間のLinimoであった。

 下車後、藤が丘駅の地上に出た。なんと、名古屋市営地下鉄は高架橋の駅だった。Linimoが「地下」で、地下鉄が「地上」という逆転現象≠ヘ最後のサプライズだった。

1605
0.0 藤が丘 16:26発
1.4 はなみずき通 16:29発
2.3 杁ヶ池公園 16:32発
3.4 長久手古戦場 16:34発
4.5 芸大通 16:35発
6.0 公園西 16:38発
7.0 愛・地球博記念公園 16:39着

愛・地球博記念公園へ

 藤が丘駅近くの喫茶店で小休止を兼ねて、今後のプランを練った。このまま地下鉄で名古屋市内に戻るのも手だが、まだ名古屋市内に戻るには時間が早すぎる。そこで、愛・地球博記念公園駅まで1往復することとした。

 藤が丘駅に戻ると、次のLinimoは16時26分発の八草(愛知工業大学前)行だった。自動券売機で愛・地球博記念公園までの切符を買い求め、自動改札を通って再び地下ホームへ降りていった。

 Linimoは既にホームで待っている。ホームは全面のホームドアで、まるで東京メトロ南北線のホームドアのようだ。乗客はそれほどでもないが、先頭車輌ではなく中間車輌に乗り込んだ。

 八草から藤が丘へ向かってきたルートを戻るので真新しい驚きはない。しかし、八草から藤が丘の列車では見逃したことがあるかもしれない。芸大通駅などからは学生らしき姿の乗客が乗り込んできた。Linimoの沿線には大学のキャンパスが多くあるようだ。通学の需要があることに少し驚きを覚えた。愛・地球博終了後のLinimoは輸送需要が少なくなるのではと思っていたが、沿線の大学キャンパスへの通学需要に活路を見いだしているようだ。そういえば、八草駅は愛環と同様に愛知工業大学前という副駅名が付されている。その他に愛・地球博記念公園駅には愛知県立大学前という副駅名がある。

 愛・地球博記念公園に着く頃には日が傾き始め、冬の日没の早さを物語っている。愛・地球博記念公園駅の西側には車輌基地への回送線につながる中線への大きなポイントがあるが、まるでモノレールのようだ。

 藤が丘から13分、愛・地球博記念公園駅に降り立った。愛・地球博開催時の喧噪が嘘のように静まりかえっていた。高架ホームから改札を通り、愛・地球博記念公園(モリコロパーク)側の出口に降りた。全く人影はない。冬の夕方近く、いくら雨が降っていないとはいえ、公園に遊びに来る人はいないようだ。モリゾーとキッコロは海上かいしょの森で静かに棲んでいるようだ。寒さも加わり、足早に駅舎内に戻った。

 「愛・地球博記念公園」という長い駅名を記念して、きっぷを買ってみた。きっぷ券面の駅名表示は1行では足りず、2行で書かれていた。

 藤が丘までのきっぷも購入し、自動改札を通って、高架ホームに向かった。愛・地球博記念公園駅は、2面3線のホームで藤が丘行と八草行のホームは別々となっている。藤が丘行のホームも八草行のホームも人影は疎らというより皆無。

1700
0.0 愛・地球博記念公園 17:05発
1.0 公園西 17:07発
2.5 芸大通 17:09発
3.6 長久手古戦場 17:11発
4.7 杁ヶ池公園 17:13発
5.6 はなみずき通 17:16発
7.0 藤が丘 17:19着

 時計の針は5時を回り、すっかり空は暮れていた。藤が丘駅から名古屋市内中心部までどれほど時間がかかるかわからないが、そろそろ名古屋市内に戻ることにして、17時05分発の藤が丘行に乗り込んだ。

 愛・地球博記念公園に着いたLinimoの乗客はそれほど多くなく、ボックスシートに1人いるかどうか程度の入りだ。しかし、芸大通駅からは学生が多く乗り込んできて、ボックスシートも埋まってきた。

 17時19分に藤が丘駅に着いた。到着後、はなみずき通駅から乗り込んだ係員が車内を一巡して、車内の点検と整備を確認していた。地下ホームからコンコースに上がり、自動改札を出たところで、「リニモカード」なるカードが販売されていたので、お土産にと買い求めた。

 リニモカードは、大人専用のプリペイドカードで、直接自動改札機を通せば精算されるカードで、東京の「パスネット」と同じ機能のようだ。デザインは愛・地球博記念公園の大観覧車をバックに走るLinimoが描かれていた。なお、Linimoではトランパス(名古屋鉄道、名古屋市交通局、あおなみ線、名鉄バスなどで使えるストアドフェアカード)も使えるが、リニモカードはトランパス対応になっておらず、Linimoでしか使えない。半ば、お土産用に販売されているといってもいいだろう。

 地下のLinimo藤が丘駅から地上の地下鉄藤が丘駅へ移動し、東山線で名古屋市内に戻った。

 「上々≠ネ旅V」はここで、一度水入りし、12月10日の特急〔ひだ〕の旅から再開することとした。

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