トップplus+上々≠ネ旅V 2007〔のぞみ19号〕
〔のぞみ19号〕
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〔のぞみ19号〕
〔のぞみ19号〕
〔のぞみ19号〕
JôJô Tour 2007

東京から一番近い
「ディーゼル特急」の姿を求めて、
初冬の飛騨路を駆け抜ける

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 JR東日本管内ではディーゼル車輌の特急列車は運転されていない。これはJR旅客6社で東日本だけである。東京から一番近いディーゼル特急となると、どこまで行けばいいのか……。答えは、名古屋。名古屋からは紀伊半島へ向け特急〔(ワイドビュー)南紀〕、飛騨方面に向け特急〔(ワイドビュー)ひだ〕がそれぞれ運転されているからだ。

 今回、第5弾となる「“上々”な旅V」は、名古屋での所用をからめて、名古屋まで最新鋭新幹線車輌「N700系電車」の乗り心地を味わい、そこから飛騨路を日本海側まで駆け抜け、富山まで足を運び、富山からは寝台特急〔北陸〕で戻るプランを設定した。

 歴史の生き証人でもある東京駅。原敬、濱口雄幸の両首相が遭難した現場のプレートがそれぞれの歴史を物語っている。
 丸の内と八重洲を結ぶ中央コンコース。常に人の往き来が絶えない。
 東海道・山陽と、東北・山形・秋田・上越・長野のそれぞれの新幹線の発車案内が並ぶ。
 東海道新幹線の乗換口に設置された発車案内板。〔のぞみ〕と〔ひかり〕〔こだま〕が別々に表示され、東・名・阪間は完全に〔のぞみ〕が主力であることを示すかのようだ。
 16・17番線ホームの丸の内寄りにある14・15番線ホームは、神田寄りが曲線を描いている。
 16番線から発車する〔のぞみ19号〕(N700系電車)の前、〔のぞみ17号〕は500系電車で運転される。
 500系電車の〔のぞみ17号〕が博多に向かう。
 〔のぞみ110号〕が東京駅に到着する。
 「エアロ・ダブルウィング」の先頭形状がN700系電車の証でもある。
 乗車口の上に設置された号車案内でも「N700系」と表示している。
 最近のバリアフリー施策の一環だろうか、号車表示が従来よりも格段に大きい。
 高崎で5分停車し、寝台特急〔あけぼの〕は三国峠越えに挑む。
 ドア脇には、フルカラーLED式行先表示器があり、号数を含めた列車名が表示されるようになり、より誤乗車が減る効果が期待できる。
 名古屋は快晴。太陽を浴びたN700系電車は、白飛びするくらい輝いていた。
19A 〔のぞみ19号〕
0.0 東 京 10:13発
6.8 品 川 10:19着
10:20発
25.5 新横浜 10:31着
10:32発
342.0 名古屋 11:55着

東京駅

 東京の、いや、日本のセントラル・ステーション「東京駅」――。今回の旅はここからスタートする。

 この東京駅は、1914年(大正3年)12月20日に開業した。官営鉄道の東京側のターミナル・新橋駅と、日本鉄道(民営鉄道)のターミナル・上野駅を高架鉄道で結ぶ計画が当時の東京市区改正計画によって立案されたのが、「東京駅」の原型である。1896年(明治29年)の帝國議会でこの高架鉄道の途中、宮城きゅうじょう(皇居)の正面に位置する原野に中央停車場を建設することが可決された。

 1914年(大正3年)12月20日に開業した中央停車場は、建築家辰野たつの金吾きんご博士によって設計された3階建ての赤レンガ駅舎で、まさに「大日本帝國」の帝都・東京の中央駅にふさわしい駅舎が開業した。

 東京駅は、歴史に名を残す事件の舞台ともなった駅で、過去に2人の首相が襲撃されている。1921年(大正10年)11月4日に、京都に赴くはらたかし原敬首相が丸の内南口で暴漢に短刀で襲われた。原首相はほぼ即死状態だった。1930年(昭和5年)11月14日には、陸軍特別大演習のため岡山に向かう濱口はまぐち雄幸おさち首相が第4ホームで銃撃された。

 丸の内側の赤レンガ駅舎は、太平洋戦争中の1945年(昭和20年)5月25日に、米軍による空襲で現在の丸の内北口付近に焼夷弾が命中して丸の内駅舎は炎上、鉄骨造の屋根は焼け落ちた。終戦直後から修復工事が進められ、空襲前の姿とは異なり、2階建てで修復された。2007年(平成19年)5月に空襲前の姿に「復原」する工事が着工し、2011年(平成23年)度末に完工を予定している。

 なお、JR東京駅の駅長がJR東日本の駅長とJR東海の駅長、2人いるのは、国鉄の分割民営化時に話題となった。東京駅長はまさに現場の最高職であり、憧れの地位である。そのためか、JR東日本では東京駅長が、現場の職員では唯一の取締役を務めている。それほど、「東京駅」という駅の存在は大きい。

>>> [上越新幹線]-[東京駅]

 東京駅中央コンコースに立つと、そんな歴史の重さや存在の大きさよりも、人々の往来の多さに面食らってしまう。それもそのはず、1日約4,000本の列車が発着するうえ、各新幹線の起点駅である。東海道新幹線、東北・上越・長野新幹線の改札口もひっきりなしに人々が行き交う。

 その人波を縫うように、東海道新幹線の改札口に向かう。みどりの窓口にはこれから乗車する新幹線の指定席を確保する列が続く。平日の午前、やはりビジネスマンの姿が多い。JR東海のエクスプレス予約の発券機の前にもビジネスマンの姿がある。今やインターネットで新幹線の座席を予約するのは当たり前の時代である。

 東海道新幹線の乗換口上に掲示されている発車案内板は、新大阪・博多へ向かう〔のぞみ〕と、〔ひかり〕〔こだま〕が別の案内板で表示されている。〔のぞみ〕も〔ひかり〕〔こだま〕も5本ずつ表示されているが、まるで都心の通勤電車のように最短数分間隔で発車していく列車の案内が表示されている。

 自動改札機に乗車券と特急券を通し、頭上が低い通路を通って、16・17番線ホームへ上がった。

N700系の前に

 16番線ホームには、〔のぞみ19号〕の1本前となる〔のぞみ17号〕が入線していた。この〔のぞみ17号〕は500系電車で運転される。白色に青いラインの300系電車、700系電車に囲まれ、500系電車の存在感は抜群。ホームを行き交う人々の視線を集める。

 この500系電車は、JR西日本が1997年(平成9年)に営業運転を開始した国内最高の300km/h運転を誇る新幹線車輌である。東海道新幹線でも活躍してきたが、座席数が300系・700系・N700系の各電車と異なることから、フレキシブルな運用(ダイヤの乱れ・車輌不良などによる運用変更)が難しいことから、N700系電車が増備されると、500系電車は東海道新幹線区間の運転から離脱し、新大阪以西の山陽新幹線区間で〔こだま〕として運転される。その際には、現在の16輌編成から8輌編成に減車され、余剰となる8輌は廃車されるという。国内最速の称号を誇る500系電車も技術革新の波には勝てず、N700系電車の増備の前に、N700系電車に引導を渡すこととなった。

 500系電車の〔のぞみ17号〕が発車を待つ間、ホームの品川寄りに立っていると、次々に上り列車が到着する様子がわかる。上り列車はほぼ満員の列車から空席が目立つ列車まで、どうしてこれほど利用率が異なるのか、品川に停車するとそこで降車する利用客が多いのか。

いよいよ、N700系

 16番線ホームから〔のぞみ17号〕が発車した3分後、品川方向から真新しい車体を輝かせた車輌が姿を見せた。新大阪始発の〔のぞみ110号〕である。これが折り返しで〔のぞみ19号〕となる。

 これが最新鋭車輌の「N700系」電車である。「エアロ・ダブルウィング」と呼ばれるシャープかつ独特な先頭形状が大きな特徴のひとつである。

 中間の車輌では、カラーリングが700系電車と大差なく、一瞥では区別することは難しいが、近年のバリアフリー施策からか号車番号が大きく表示されているのが目を引く。

 〔のぞみ110号〕として運転されてきたN700系電車には、車内の整備・清掃、点検のため、〔のぞみ110号〕の乗客が降車後、すぐには乗車できない。一旦ドアが閉まり、清掃員らが乗り込んで手際よく作業を進める。このN700系電車は全席禁煙であるため、座席に灰皿はなく、その分作業効率も上がるのだろう。

 車内の清掃作業中も、乗車を待つホームの列は長くなっていく。指定席号車でも待合室がないからか、列は長くなっている。

 発車数分前、〔のぞみ19号〕として整備が整ったN700系電車は、一斉にドアを開け乗客を迎え入れた。ホームに並んでいた乗客が一気に流れて込んでいく。人々の流れが慌ただしい。

3拠点で満員の乗客に

 10時13分、慌ただしい人の流れが収まらないうちに、〔のぞみ19号〕は東京駅16番線ホームを発車した。

 指定席特急券に指定された7号車は、8割程度の乗車率だろうか。空席を見つけるのが難しい。

 右側に山手線・京浜東北線の電車が行き交う。特急〔踊り子〕などで用いられる185系電車などが休む田町のJR東日本田町車両センターを過ぎれば、加速もそこそこに減速しはじめ、わずか6分で、品川駅に到着した。

 品川駅でも空席を見つけるのが難しいその席を埋めるように乗客が乗り込んだ。車掌の車内アナウンスによれば、指定席は空席なしだという。こうなると、車内の写真撮影は事実上断念せざるを得ない。プロのカメラマンでも、メディア・鉄道関係者ではない。ただでさえ満席の平日の新幹線である。車内を見渡せば、書類に目を通したり、週刊誌に目を落としつかの間の休息を過ごしたりするビジネスマンの姿が圧倒的だ。通路をウロウロとしてしまえば、目障りこの上ないだろう。このあたりは是非とも配慮しておきたいと強く思う。

 品川を発車した〔のぞみ19号〕は、再び加速を始めた。車窓からは超高層ビル群が姿を消し、マンションが姿を現す。多摩川を渡れば、神奈川県に入る。けれど、それを意識させるような街の境はなく、マンションや一戸建て住宅が車窓に続いていく。

 10時31分、新横浜駅に到着した。JR東海は、〔のぞみ〕運転開始後、新横浜に速達列車を停車させるようになった。この新横浜に加え、2003年(平成15年)に開業した品川駅とで、首都圏は東海道新幹線へのアクセスは3拠点となった。東京を出たら次は名古屋という〔のぞみ〕はなく、品川・新横浜のいずれかあるいは両方に停車するようになった。

N700系

 N700系電車は、エアロ・ダブルウィングという先頭形状が外観上の最大の特徴であるが、車内は新しい時代の新幹線にふさわしい車内となっている。その特徴は、座席の改良、電源コンセントの設置、全席禁煙が挙げられるだろう。

 座席は長時間着席していても疲れないように、新しい素材が使われているという。着席した感想は、さほど体感できるほどの違いはないが、JR東日本の新幹線車輌(200系電車・E1系電車・E4系電車)の座席よりも疲れにくいことは降車時に感じることができた。

 携帯電話やノートパソコンの普及で、「いつでも電源が欲しい」という欲求が高まってきたのか、グリーン車には全席、普通車では窓側のA席・E席と最前部・最後部の座席に電源コンセントが付くようになった。これで、移動中の車内でも携帯電話に充電したり、ノートパソコンで作業がしやすくなった。最も「電車」であるから、「電気」は豊富にあると考えるのは素人考えのようだが……

 そして、東海道・山陽新幹線では初めての全席禁煙である。JR東日本はほとんどの新幹線・特急列車が全車輌禁煙となり、一部の寝台列車を除いて事実上「車内全面禁煙」となった。一方、東海道・山陽新幹線は、ビジネスマンを中心に喫煙車輌の要望が高いことから、全面禁煙に踏み切らないままだった。しかし、社会的な禁煙傾向から、より分煙を進めることとして、N700系電車では全席禁煙とし車輌の一部に喫煙ルームを設置することとした。これは、競争相手である航空機が全面禁煙であることから、喫煙する利用者を取り込もうという戦略であるともいえる。確かに、嫌煙家でなくとも喫煙車輌は体によくない煙がもうもうと立ちこめる印象がある。社会的に禁煙の要求が高まる中、喫煙家には設備の整った喫煙ルームに移動する手間ぐらいは我慢するしかない。

車体傾斜システム

 N700系電車は、カーブ区間付近で加減速しなくてもいいように、車体傾斜システムを導入した。つまり、N700系電車は「振り子車輌」ということになる。これで、カーブの制限速度設定区間が多い東海道新幹線の区間では5分の時間短縮につながり、加減速を繰り返さないことから約20%程度の省エネルギー効果があるという。所要時間の短縮だけでなく、省エネ効果もあるのはちょっとした驚きだ。ししかし、乗っている限り、車体が傾いているのを体感することは全くなく、逆に「車体傾斜システムが本当に働いているのか」と疑いたくなるほどだ。

スーっと名古屋へ

 車体傾斜システムのせいか、加減速を全く体感することなく、まさに「スーっ」といった感じで東海道を西進していく。静岡県に入れば富士山が車窓右側に聳え、富士山が遠ざかったと気づけば、もう浜松に近く、浜名湖を過ぎれば名古屋は程近い。

 11時55分、〔のぞみ19号〕は定刻通りに名古屋駅17番線ホームに到着した。東京から1時間42分、新横浜から1時間23分、あっという間の感が強い。特に、これまでの「上々≠ネ旅」で中京圏を訪れていないから、この感が強くなるのだろうか。大阪だと、これに約1時間が加わるから、それもあるのだろうか。新横浜からの表定速度は約229km/h。〔のぞみ19号〕はN700系電車で運転される〔のぞみ〕の中でも所要時間が短い方ではないが、220km/hを超える表定速度がN700系電車の威力を示しているようだ。

 名古屋では3〜4割の乗客が降り、それと同じくらいの乗客が乗り込んでいった。名古屋駅では2分間停車だが、少し乗降には時間的な余裕があるようだ。人の流れが途絶えた後しばらくして、〔のぞみ19号〕は博多に向け発車していった。降車客の流れは階段方向に消え、ホーム上には次の列車、目的の列車を待つ人が行き交っていた。

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