| JôJô Tour 2004 |
 |

前回の“上々”な旅は「九州初上陸」という記念すべき旅だったが、第2弾の今回は「北海道初上陸」である。念願だった青函トンネルを通っての「渡道」は、鉄道ファン冥利に尽きる。前回の目玉は、看板列車を乗り継いだ旅だったが、今回は、竜飛海底駅を巡り、函館から寝台特急〔北斗星〕で折り返す、今回も豪華な旅となった。前回は東海道新幹線・品川開業を記念して品川スタートだったが、今回は、埼玉の一大ターミナル・大宮駅からスタートしよう。
 |
| 〔はやて〕は東京−盛岡間で秋田新幹線〔こまち〕と併結運転する。 |
 |
| 下り列車の先頭は〔こまち11号〕。この後ろに〔はやて11号〕が併結されている。 |
 |
| いかにも穀倉地帯「東北」らしい光景が広がり始める。 |

| 3011B 〔はやて11号〕 |
| 0.0 |
大 宮 |
11:22発 |
| 294.1 |
仙 台 |
12:37着 |
| 12:38発 |
| 465.2 |
盛 岡 |
13:22着 |
| 13:26発 |
| 469.3 |
いわて沼宮内 |
13:40発 |
| 530.8 |
二 戸 |
13:53発 |
| 561.7 |
八 戸 |
14:04着 |
北のターミナル
2004年(平成16年)7月9日。世の中は「ごく普通の金曜日」である。さいたまは梅雨だというのに晴れ上がり、気温もグングン上昇している。10時の時点で30℃を超えている。ジメジメとまとわりつくような暑苦しさがじっとりと身体を包んでいる。
今回の旅のトップバッターは、JR東日本が誇るE2系電車〔はやて〕である。今回の旅のスタートは5新幹線が集結する北のターミナル¢蜍{駅からスタートした。
大宮駅の新幹線ホームは3面6線を誇り、1982年(昭和57年)の暫定開業時から1985年(昭和60年)まで始発駅だったことを今でも感じることができる。だが、決して国鉄時代の面影があるわけではない。ただ、ホーム全体が屋根で覆われ、日中ですら薄暗い印象を受けるのは国鉄時代と変わっていない。平日の午前中というのに、新幹線の下りホームは多くの利用客が目当ての新幹線が到着するのを待っていた。
17番線ホームで〔はやて11号〕を待っている間にも、上越新幹線〔とき351号〕や長野新幹線〔あさま513号〕が次々と発車していく。まさに、首都圏から北への玄関口である。そのため、ひっきりなしに構内放送や自動放送が流れる。これらの列車が到着するたびに、多くの人が乗り込んでいくが、自由席からは降りる人もちらほらいる。東京から大宮まで26分、在来線の上野乗り換えや京浜東北線利用では不便を感じる人もいるようだ。
17番線ホームに「まもなく17番線に、はやて11号、八戸行と、こまち11号、秋田行が参ります。……」と放送が流れた。2本の列車が併結している分、案内放送も長い。駅員による肉声放送では「はやて、こまち11号、八戸、秋田行が到着します」と省略しているが、不慣れな人には、やはり丁寧な放送が必要である。その一方で、耳障りに感じる人もいることは事実で、難しい判断を求められる。
さて、11時21分。〔こまち11号〕のE3系電車を先頭にした〔はやて11号〕〔こまち11号〕が大宮駅17番線ホームに到着した。さすがに全車指定席だけあって大宮で降車する人はいなかった。早速、指定席券に指定された8号車の車内に乗り込むと、東京、上野で6割程度席は埋まっており、大宮からの利用客を加えると、8割から9割程度、席が埋まっている。車内放送は「次は仙台に停まります」と繰り返している。〔はやて〕〔こまち〕は大宮−仙台間をノンストップで駆けぬける。そのため、宇都宮や郡山などへの利用客の誤乗を防がなければならない。さらに、大宮は5新幹線が集結するだけあって、上越・長野新幹線ではないことも案内している。さすがに、長野に行きたいのに〔はやて〕や〔こまち〕に乗るような利用客もいないと思うが、駆け込み気味に乗り込んでしまうと「次は仙台」と言われてしまう。
北への大動脈
11時22分、定刻通り〔はやて11号〕〔こまち11号〕は大宮を発った。東京−大宮間は最高速度を110km/hに制限しているが、大宮以北は最高275km/h運転で、〔はやて〕〔こまち〕に使用されるE2系電車・E3系電車は、この区間をその最高速度で運転する。車内は、出張のビジネスマンに加え、観光客の姿も多い。東海道新幹線は圧倒的にビジネスユースが占めているのとは違い、東北新幹線は、観光客の姿が目立つ。蒸し暑い東京を避け、少しでも涼しい東北を目指してしまうのだろうか。とはいっても、東北も「梅雨」であり、梅雨がないのは北海道なのだが、既に30C゜を超えているので、気持ちは十分にわかる。
〔はやて11号〕〔こまち11号〕は、針路を北に取り、一気に最高275km/hで北上していく。実際の巡行速度は270km/h程度だろうが、前回“上々”な旅で乗った500系電車〔のぞみ500号〕の最高300km/hよりも揺れは小さく、スーっと進んでいるように感じる。宇都宮で先行していた〔やまびこ157号〕(E2系電車10輌編成)を追い越した。宇都宮を過ぎると、車窓は田園風景が広がる。それでも、ブツブツとトンネルが続く区間があり、上越新幹線のように雪除けのシェード区間でずっとトンネルが続く区間とは違い、車窓はパッパッと「明と暗」が繰り返される。
福島でも先行していた〔Maxやまびこ109号〕を追い越した。この〔Maxやまびこ109号〕は福島で〔はやて11号〕を退避中に、連結していた〔つばさ109号〕を切り離す。なんとも効率のよいダイヤ設定である。ただ、東北・山形・秋田新幹線のダイヤは、秋田新幹線の盛岡−秋田間からダイヤを組み立てていくのだそうだ。特に、大曲−秋田間にある標準軌複線区間でうまくすれ違うようにダイヤを設定してから、東京側のダイヤを組み立てていく。そのうえで、上越・長野新幹線のダイヤを組み立てていくそうだ。素人目には、一番運転本数が多くボトルネック区間である東京−大宮間のダイヤから設定すると想像していたから、秋田新幹線の一番秋田側からダイヤを組み立てていくと知った時には大いに驚かされた。5新幹線をうまく組み立てていくのは、たとえコンピュータが組み立てていくにしろ、やはり「スジ屋」(ダイヤを組み立てていく人)の職人芸のように感じる。
さて、話を〔はやて11号〕〔こまち11号〕に戻そう。大宮から1時間ほどで、宮城県に入っていた。白石蔵王を過ぎれば、次は東北一の大都市・仙台である。ドア上に設置されている電光案内器ではニュースや天気の他に、JR線の運行情報を表示されている。もちろん、東京圏の運行情報を流しても無意味であるが、仙石線・陸前高砂駅で発生した人身事故で、あおば通−石巻間に遅れと運休がででいるとの情報が流れた。また仙山線でも線路点検の結果、遅れがでているとのこと。あらかじめ、乗換先の運行情報が流れるのは非常にありがたい。本来ならば、遅れや運休がないのが望ましいが、それでもホームを降りてから情報を知るのと、あらかじめ車内で知るのでは、乗換客の心構えも違ってくるだろう。ささやかなことではあるがICT(情報通信技術)の革新がもたらした有益なことである。
利用客半数に――仙台
名取川を渡り、「まもなく、仙台です。……」と、いつもの車内放送が流れる。列車は一気に左にカーブし、仙台市内を突き進んだ。12時37分、〔はやて11号〕〔こまち11号〕は仙台駅12番線ホームに到着した。仙台では乗客の半数以上が降りたが、乗り込んでくる利用客の数は数える程度で、仙台を境に輸送需要が大きく変わっていることを物語っていた。鉄道ファンの間ではつとに有名な発車メロディーが流れ、ドアが閉まった。〔やまびこ〕〔Maxやまびこ〕は仙台から各駅停車になる列車が多いが、〔はやて〕〔こまち〕はほとんどが盛岡まで停まらない。
12時38分に仙台を発った〔はやて11号〕〔こまち11号〕は、再び一気に加速して北上した。車内は一気に静かになり、のんびりと車窓を楽しんでいると、見慣れない姿の人が8号車に入ってきた。それは制服警察官。たぶん鉄道警察隊と思われるが、3月にスペインで発生した列車爆破テロを警戒したうえでの乗車警戒なのだろう。一瞬、「事件か?」とヒヤリとさせられるが、それにしてもつくづく世知辛い世の中になってしまったものだと思わず悲嘆してしまう。けれども、逆に制服警察官が同乗しているのに安心してしまうのも現実である。
一ノ関で〔Maxやまびこ49号〕を追い抜いた。この〔Maxやまびこ49号〕は、〔はやて11号〕〔こまち11号〕より40分前に東京を発っていた列車で、東京−盛岡間で比較すると、1時間も所要時間に差が出ている。
ところで、制服警察官が巡回していたが、もう一方巡回していた人がいた。ゴミ回収の人である。テロ対策で、車内のゴミ箱は封鎖され、ゴミは車外まで持ち帰らなければならない。そこで、事前にゴミを回収してくれるのだが、これが便利である。
 |
 |
| 盛岡で〔こまち〕と切り離し、ここから八戸まで、〔はやて〕は単独運転となる。 |
 |
| 〔こまち〕が一足先に発車していく。このあと、動きながら連結器のカバーが閉じられる。昔の在来線のように切り離しの作業員の姿はなく、ホーム係員が見守っている。 |
 |
| 大宮からたった2時間42分で、北の大地の玄関口・八戸に到着。 |
仙台から1時間弱、13時22分に〔はやて11号〕〔こまち11号〕は盛岡駅14番線ホームに到着した。ここで、〔はやて11号〕と〔こまち11号〕が分割される。とはいっても、目立った作業はない。駅係員がホームに立っているだけである。13時25分、先頭部分の〔こまち11号〕が秋田を目指して、〔はやて11号〕を残して発車した。〔はやて〕側にも分割の衝撃は全くなく、〔こまち11号〕は連結カバーを動かしながら在来線区間に入っていった。そのわずか1分後の13時26分、〔はやて11号〕も盛岡駅を発った。分割作業を見守るギャラリーは多くなかった。ごく普通の日常光景なのだろう。
ここからは、2002年(平成14年)に開業した新しい区間である。盛岡以北は一気にトンネル区間が多くなる。せっかくの緑豊かな車窓も残念ながら眺めることはできない。13時40分にいわて沼宮内、13時53分に二戸に停車した。この2駅は、この〔はやて11号〕の次の列車は2時間後の〔はやて15号〕である。いわて沼宮内は山間の駅で決して乗降客が多いわけでもなく、また2駅とも、通過線がないかわりに、ホーム上にホームドアが設置されている。
北の大地、青森・八戸へ
14時04分、〔はやて11号〕は定刻通り、八戸駅14番線ホームに到着した。大宮から約560km、わずか2時間42分。新幹線の威力をことごとく見せつけられた。これだけの所要時間の短縮を考えれば、地方が新幹線を渇望するのにも一理あると考えられるが、並行在来線問題など整備新幹線には解決すべき問題も多い。〔はやて11号〕から降り立った利用客は、半数程度が東北本線特急の〔白鳥15号〕に乗り換えているようだ。その一団を横目にいちど改札口を出た。
|