トップplus+上々≠ネ旅I 2003〔サンライズ瀬戸〕
JôJô Tour 2003

2003年 〔のぞみ〕 〔彗星〕 〔ソニック〕 〔サンライズ瀬戸〕  東京〜別府 看板列車乗り継ぎ “上々”な旅

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 瀬戸大橋線の開通から15年。〔マリンライナー〕にも新型車両が導入された。先頭車両は2階建て車両の5100形(JR四国)。
 〔マリンライナー〕は最終の新幹線でも接続する。「(四国)高松」行が、本州と四国が地続きになっていることを物語っている。
 寝台特急〔サンライズ瀬戸・出雲〕は、寝台特急〔あさかぜ〕に続行する形で運転される。「サンライズ」は「Sunrise」であるべきだが、なぜか「Sunr ise」となっている。
 先行する寝台特急〔あさかぜ〕。EF66電気機関車に掲げられたヘッドマークが誇らしい。
 瀬戸大橋を渡って四国からやってきた寝台特急〔サンライズ瀬戸〕。出雲市からの〔サンライズ出雲〕と併結する。
 従来の寝台列車の概念を打ち破る285系電車。「サンライズ」のネーミングも型破りな例だ。
 岡山でも降り止まない雨が、窓を伝う。
 13号車の2階通路。まるでホテルのようだ。
 シングル(1階室)の内部。狭いように見えるが、実際にはそれほど狭く感じない。
 シングルの音響装置・空調装置のコントロールパネル。NHK FMも聴くことができる。
 室内灯のみで撮影したもの。この灯りだけでも十分にあるし、本を読むことも容易だ。
5032M 寝台特急〔サンライズ瀬戸〕
0.0 岡 山 22:32発
88.6 姫 路 23:31発
145.9 三ノ宮 0:12発
176.5 大 阪 0:37発 変更
552.7 静 岡 4:47発 5:47発
586.7 富 士 5:12発 6:12発
606.7 沼津 5:27発 7:00発
628.3 熱 海 5:44発 7:30発
704.1 横 浜 6:45発 8:53発
732.9 東 京 7:08着 9:19着

最後を飾る「サンライズ」

 せっかくの三連休も日本列島はぐずついた空となった。岡山でも〔のぞみ500号〕からの車窓でもはっきりと雨だとわかるくらい、本降りである。〔のぞみ500号〕から〔サンライズ瀬戸〕への乗り継ぎに50分もあるが、駅の外には出られないようだ。それに便利なことに、岡山駅構内にはコンビニがあり、飲み物などはそこで買うことができた。

 岡山駅を散策するのも楽しい。新しいJR四国の5000系電車とJR西日本の223系5000番台電車の快速〔マリンライナー〕が停まり、山陽本線・赤穂線の普通列車も発着している。旅先での駅は、その土地土地の車両たちを間近に見る絶好の機会でもある。普段見慣れているはずの115系電車が入線してきた。それだけでも驚く。逆に言えば、国鉄時代に製造された115系電車は全国に運用できるような車両だったことでもある。

 22時17分、岡山駅15番線ホームに寝台特急〔あさかぜ〕が入線してくる。EF66電気機関車に牽引された24系25形客車は心なしか寂しげだ。2分ほど停車した後、22時19分、〔サンライズ瀬戸・サンライズ出雲〕に先行するように東京に向かった。

 〔あさかぜ〕が発った14番線・15番線ホームの奥、16番線・17番線には吉備線と津山線の気動車がアイドリング音を響かせている。22時22分、大元方向から7両編成の寝台特急〔サンライズ瀬戸〕が入線してきた。クリーム色の車体が雨とホームのライトに輝いている。〔サンライズ瀬戸〕は、14番線ホームの高島方向(進行方向)に偏るように停車している。これは、伯備線からやってくる〔サンライズ出雲〕と連結するためだ。だから、〔サンライズ瀬戸〕は岡山で10分間も停車する。

 早速、乗り込むこととしよう。1998年7月に登場した285系電車は、新しい寝台電車として注目されている車両だ。1年後に登場した寝台特急〔カシオペア〕(E26系客車)は、豪華な寝台列車の旅を提供する次世代の寝台列車なのに対し、〔サンライズ瀬戸〕〔サンライズ出雲〕は、どちらかといえば実用的な寝台列車である。東西の新型寝台列車がコンセプトがそれぞれ異なっているのも興味深いところだ。指定された個室は13号車の1階個室「シングル」である。デッキとの自動ドアが開くと、目の前には階段がある。わかりやすく言えば、乗り込んだドアのレベルが1階と2階の踊り場のレベルになっている。この階段を降り、指定された個室にたどり着く。〔彗星〕の通路よりはやや広いが、大きな荷物を持って人とすれ違うのはやや難しい。

 既に個室のドアは開いており、腰掛けてみる。〔彗星〕では、ベッドをセッティングする必要があったが、〔サンライズ瀬戸〕では最初からシーツが敷かれ、毛布などが端に置かれている。個室内は木目調の茶色の落ち着いた感じが寝台列車らしい。〔彗星〕の「ソロ」の寝台料金は6300円、〔サンライズ瀬戸〕の「シングル」の寝台料金は7350円と、約1000円の差があるが、個室空間の快適性からみれば、1000円の割高は納得できよう。

 22時28分、伯備線を経由し出雲市からやってきた〔サンライズ出雲〕と連結、全く連結の揺れを感じない。これで、14両編成の〔サンライズ瀬戸・サンライズ出雲〕として、東京に向かう準備が整う。

 22時32分、岡山駅14番線ホームから285系電車14両編成の寝台特急〔サンライズ瀬戸・サンライズ出雲〕が発車した。まだ本降りの雨は止む気配がない。窓を伝う雨が車窓を曇らす。車内は個室ばかりなので、静かだ。通路を通る人もまばらなのか、人の声さえ聞こえない。ただ、ジョイント音だけが聞こえるだけである。

 岡山停車中に検札があり、車掌さんに会うことはない。たいていのことは各個室に置かれている小さな車内案内のリーフレットで足りる。だが、何か聞きたい時に、通路を車掌さんが通っているか、ずっと見ているわけにもいかない。せめて、ホテルのドアノブにぶら下げる札のように、車掌さんが通った時に用件を聞いてくれる仕組みがほしい。

やはり移動は面倒なもの

 10号車にはシャワー室があるが、ほぼ個室は満室のようなので、もう一杯だろう。諦めよう。6分間シャワーが出て310円だという。さっぱりしてから就寝したい時にはうってつけだ。特に、夏場はシャワーだけでも浴びたいものだ。それでも10号車には自動販売機とミニサロンがある。せっかくの機会だから、遅くならないうちに見てみよう。

 12号車は「ノビノビ座席」がメイン。簡単に言えば、昔の青函連絡船の座敷席みたいものだ。上下2階のカーペットフロアに、簡単な仕切りで区切られたカーペットスペースに横になるだけだが、寝台料金はなく、指定席料金だけで乗車できるだけあって、意外と人気のようだ。ほぼ60〜70%が埋まっていた。続く11号車はA寝台1人用個室「シングルデラックス」(2階)、B寝台2人用個室「サンライズツイン」(1階)の構成で、通路を静かに通る。10号車はB寝台1人用個室「ソロ」で、サンライズシングルより個室は狭い。

 ソロが並ぶ通路を通ると、ミニサロンと自動販売機、シャワー室がある。自動販売機にはコーラとミネラルウォーターぐらいしか販売していない。ビールなどは販売していない。「寝酒がないと……」という人はあらかじめ乗車前に買っておく必要がある。

 静かに13号車の個室に戻る。13号車のデッキのみが喫煙できる。11号車の一部・13号車の個室は喫煙室だが、13号車のデッキだけに灰皿があり、禁煙室のスモーカーはここまで来ないと一服できない。車内放送でも「禁煙エリアでタバコを吸うと感知器が作動し列車が停車しますので、ご注意ください」との旨、説明があった。もちろん、寝タバコはご遠慮願うとの放送もあった。急行〔きたぐに〕のトンネル火災事故の例を挙げるまでもなく、限られた移動空間での火災は怖い。285系電車には相当の防炎設備が整っているようだ。

 22時50分、岡山と姫路の中間位置ぐらいで、最終放送が流れる。横浜到着前まで車内放送はない。姫路、三ノ宮、大阪、静岡、富士、沼津、熱海の停車時に放送はない。確かに、有効時間帯ではなく、ほとんどが東京までの利用客のようだから、不要と言えば不要だ。気がつけば、雨もだいぶ小振りになり、止みそうな気配だ。個室内にはトイレはなく、トイレは車端に行くこととなる。個室を出るたびに、テンキーの施錠システムで、鍵をかける。どんなに注意しても車中狙いはわからない。テンキーに任意の4桁を入力して施錠、その数字を入力して解錠なので、誰にでもわかりやすいシステムだ。

 せっかく、新型寝台電車の〔サンライズ瀬戸・サンライズ出雲〕だが、トイレは決してきれいとは言えず、及第点には届かない。せっかくの新型電車が台無しである。

 ただ、トイレに出るのはまだしも、自動販売機への移動やシャワー室への移動は階段がはさまり、面倒なもの。だからといって、専用通路を通すようなスペースもなく、現状がいちばんベストのようだ。

「サンライズ」増備の検討を

 285系電車は1998年7月に登場して以来、JR東海とJR西日本の各3編成42両しかなく、〔サンライズゆめ〕として臨時列車で運転する他に、増備されて従来の寝台列車を置き換えるような動きはない。確かに、寝台列車の運行には、航空機との競争を意識せざるを得ない。〔サンライズ瀬戸〕〔サンライズ出雲〕はいずれも羽田−高松・出雲間の航空機最終便の後に出発し、第一便よりも前に目的地に到着する。このような環境だからこそ寝台列車の効果が十分に発揮される。

 それでも、現在の他の寝台列車に使用される14系15形客車や24系25形客車が製造から30年前後が経過し、車両の陳腐化、老朽化は否めない。新型車両を導入せずに廃止への道しかないようにも考えられる。だが、285系電車は新時代の寝台列車として十分に魅力的な車両だ。285系電車を増備して、従来の寝台客車を置き換えたり、直流しか対応していない285系電車の交直流版を開発した「585系電車」を登場させ、新しい時代の寝台列車の主力となってほしい。何より、ほぼ満室に近い〔サンライズ瀬戸〕〔サンライズ出雲〕は、新しい時代の寝台列車の求められる姿を物語っている。つまり、〔カシオペア〕に代表される贅沢な寝台列車の旅、〔サンライズ瀬戸〕〔サンライズ出雲〕に代表される実用性重視の個室主体の寝台電車に二極化されていくだろう。

 私案として、285系電車(仮称585系電車を含む)の導入を検討してもよい列車を検討してみよう(順不同)。

  • 寝台急行〔銀河〕 東京−大阪間
  • 寝台特急〔なは〕 新大阪−熊本間
  • 特急〔ドリームにちりん〕 博多−南宮崎間
  • 寝台特急〔北陸〕 上野−金沢間 (福井延長も)
  • 寝台特急〔あけぼの〕 上野−青森間(羽越本線経由)
  • 急行〔きたぐに〕 大阪−新潟間

 この他にも、休前日など多客期に臨時運転する夜行列車(〔ムーンライト信州〕など)にも285系電車の余剰編成を投入してもいい。2階建てグリーン車のように2階建て座席車があってもいい。

 こんな「サンライズ」を可能性を考えていたら、〔サンライズ瀬戸・サンライズ出雲〕の右手には明石海峡大橋が見えてきた。〔彗星〕のときにも確認できたが、吊り橋の明石海峡大橋はライトアップされていて走行中の列車内からも容易に確認できる。午前0時までが点灯時間なのでギリギリである。明石海峡大橋が後ろに下がれば、もう三ノ宮である。

 「シングル」内の音響装置は、NHK FM以外故障しているのか。音が出てこない。肝心のNHK FMも移動するので周波数が変わるらしく、雑音がひどくなり、聴き取れなくなることもある。もう日付が10月13日に変わり、そろそろベッドに身をゆだねることにしよう。夜が明ければ、もう東海道も残りわずかになっているだろう。それは、今回の「看板列車乗り継ぎ 上々≠ネ旅」のフィナーレを意味する――。

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