トップplus+上々≠ネ旅I 2003〔彗星〕
JôJô Tour 2003

2003年 〔のぞみ〕 〔彗星〕 〔ソニック〕 〔サンライズ瀬戸〕  東京〜別府 看板列車乗り継ぎ “上々”な旅

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 京都駅には実に多種多様な列車が乗り入れる。上から北陸本線の特急〔サンダーバード〕(大阪−富山・和倉温泉間)、智頭急行線経由の特急〔スーパーはくと〕(京都−鳥取・倉吉間)、高山本線の特急〔(ワイドビュー)ひだ〕(大阪・名古屋−高山・富山間)。
 〔彗星・あかつき〕の文字が夜行列車の旅情をかき立てる。
 2号車「ソロ」であるオハネ15-351。
 〔彗星・あかつき〕は山陽本線内では併結運転する。下りでは、〔彗星〕が先頭で、〔あかつき〕が後部に連結される。
 2号車「ソロ」の車内。通路はすれ違うのが難しいほど狭い。
 上はソロ個室(2階)内。下はゆかた。
 ソロ個室内は、オーディオ装置・空調設備などを調整できるパネルがある。
 旅行雑誌の紙面を飾るようなフレームを狙ってみた。なんとなく旅情に誘われるだろうか。
 木目の小さなテーブルが機能的にまとまった個室内を潤してくれる。ペットボトルは凹んだ部分においても、高さがあるので、キャップを閉めておくと倒れても心配がない。鉄道旅行には「時刻表」が欠かせない。
33 寝台特急〔彗星〕
0.0 京 都 20:20発
39.0 新大阪 20:51発
42.8 大 阪 20:56着
21:02発
73.4 三ノ宮 21:24発
130.7 姫 路 22:09発
219.3 岡 山 23:14発
235.2 倉 敷 23:27発
277.6 福 山 0:01発
297.7 尾 道 0:17発
309.2 三 原 0:28発
582.3 下 関 4:28着
4:33発
588.6 門 司 4:41着
4:47発
594.1 小 倉 4:55着
5:01発
645.9 中 津 5:42発
669.9 宇 佐 6:00発
714.9 別 府 6:40着

交通の要衝「京都駅」 

 京都駅は古都・京都の玄関口であると同時に、交通の要衝でもある。関空特急〔はるか〕や、特急〔サンダーバード〕、山陰特急だけでなく、鳥取と結ぶ特急〔スーパーはくと〕や飛騨高山と結ぶ特急〔(ワイドビュー)ひだ〕が乗り入れる。それだけでなく、JR京都線やJR琵琶湖線、奈良線の通勤電車、それに近鉄京都線も乗り入れている。まさに、京阪神地域の交通の要衝という言葉が似合う。

 そんな交通の要衝にあっても、JR京都線やJR琵琶湖線、JR嵯峨野線は動きが活発であるが、そんな各線と奈良線ホームに挟まれた6番線・7番線ホームは列車の発着が少ないだけに、ひっそりと異空間の漂いがある。残念ながら、ホーム上の売店もすべて閉店している。

ブルートレイン

 19時58分、山科方向から、EF66電気機関車(EF66 47)に牽引された14系15形客車13両編成の寝台特急〔彗星・あかつき〕が7番線ホームに入線してきた。青い車体、寝台特急という響きに心なしか気持ちが高まる。滅多に乗ることができない寝台特急だから、持参したデジタルカメラも活躍している。残念ながら、EF66電気機関車に取り付けられた〔彗星・あかつき〕のヘッドマークはホームから出ており、撮影することはできなかった。別府に着いた時に期待しよう。

 乗り込む前に、駅構内の売店で、ある程度の食糧と飲み物を買っておいた。ホーム上や車内で弁当や飲み物が販売されていないだろうと考えていたことが的中した。これは、寝台特急では車内販売が期待できないのが悲しい現実だからでもある。ペットボトルはここぞとばかり活躍する場でもある。

 「ブルートレイン」。〔カシオペア〕や〔トワイライトエクスプレス〕などの豪華寝台特急が登場した今、ブルートレインという言葉には贅沢な鉄道旅行という雰囲気はなくなってしまった感がある。三連休の前日だからか、〔彗星・あかつき〕に乗り込む乗客も多いようだ。たぶんの利用率がどれほどかは知らないが、思っていたより乗り込んでいく人は多い。まだまだ現役で活躍しているのは嬉しい限りだ。

併結運転が語る現実――くすんでしまった青色

 しかし、〔彗星・あかつき〕の併結運転は、寝台特急・ブルートレインが置かれた厳しい立場を物語っている。〔彗星・あかつき〕は国鉄時代から併結運転であった。その後、〔みずほ〕が廃止され、〔さくら〕と〔はやぶさ〕が併結運転している現実、〔サンライズ出雲〕〔サンライズ瀬戸〕や〔カシオペア〕を除けば寝台特急列車用の車両が新造されない現実は、寝台特急が置かれた厳しい現実を物語っている他ない。確かに、5割にも満たない乗車率や供食設備の離脱では、JRサイドにとっては、新規投資の対象とはならない。これが民営化の現実である。ややもすれば、JR他社線の車両を運転したり、整備したりすることさえやめてしまいたいと感くぐりたくなる。だからといって、国鉄に戻そうという論は暴論でしかない。例えば、JR貨物に長距離夜行旅客列車を運転できるようにすれば、

 どことなく、「プレートレイン」が輝く青色ではなく、くすんでしまった青色に感じてしまうのは、そのような現実があるからだろうか。

ソロ

 ブルートレインが置かれた現実は胸の奥にしまい込んで、早速車両に乗り込もう。指定された個室は、2号車8番。オハネ15-351という車両だ。レール方向に寝台が配置されている。簡単に言えば、動くカプセルホテル。ソロは28室あり、奇数番は1階室、偶数番は2階室となり、8番個室は2階室である。ドアを開けると、目の前にはベッドとなる部分が目立つ。足下の階段を登ると、腰掛けるようなシステムになっている。まさに、カプセルホテルのようだ。荷物を片づけるとともに、駅構内の売店で買い求めた飲み物を用意しておく。狭いだけあって、効率よく準備しないと、落ち着いて寝台列車の旅を楽しめない。

 車掌さんは発車前に検札に回っていた。発車前の検札は気配りなサービスで、発車後にいちいちきっぷを検札されるのは面倒と感じてしまうよりは、ラクなイメージを受ける。ソロの個室のドアには4桁の番号を入力することで解錠できるロックシステムがあり、わからなければ、このときに車掌さんに聞けばいいわけで、なんともありがたい。こんな小さな心配りでも、あるのとないのとでは全然違う。

 7番線ホームには、〔彗星〕南宮崎行、〔あかつき〕長崎行の発車の放送が流れる。京都駅だけの発車のメロディーが終わると、折戸のドアが閉まった。

 20時20分。定刻通り、EF66電気機関車の汽笛とともに、13両編成の〔彗星・あかつき〕は京都駅を離れた。別府までの714.9km、8時間20分の旅が始まった。ポイントをまたぎ、JR京都線(東海道本線)を西進する。決して柔らかいとは言えないが、ベッドに腰を下ろして、車窓を眺めていると、新幹線とは違った「味わい」のある旅が始まった気がする。仲間とワイワイ騒ぎながら行くのも楽しいが、流れる車窓を眺めながら、時を過ごすのも、結構贅沢な気分になる。

 ただ、カプセルホテル並みとあって、やや狭いのは難である。個室と言うだけで、B寝台の開放型に比べればいいんだろうが、寝台料金6300円という値段を考えると、どうも腑に落ちない。どこかに、荷物置き場があってもいいのにと思いたくなる。ベッドをセッティングすると、大きなカバンをどこに置こうか悩む。階段部分に置くか、机脇のスペースに置くか。狭い車内に苦心して改造されたソロなので、ところどころに使い勝手の悪い面が出ても仕方ないことなのだろうか。

 それでも、オーディオサービスが機能していたのは嬉しいことだった。2チャンネル(5ch:洋楽、6ch:「JRオーディオチャンネル」宗次郎ベストセレクション)があって、エンドレスで複数の曲がかかっていたが、設備があって機能していないよりはいい。ちゃんと車内放送の割り込み機能もあって、ずっと聴いていても苦にならない。

外を眺めていると

 京都を発って、〔彗星〕、〔あかつき〕のそれぞれの終着までの所要時間と走行距離まで含めた車内放送も終わると、個室内は、オーディオから流れる音楽と車輪が刻む走行音のみとなる。湾曲した窓から眺める夜景も高いところからだけあって、眺めもいい。静かに流れる車窓を楽しむ。

 〔彗星・あかつき〕は、最初の停車駅・新大阪に着く。ホームが反対側で、どれほどの乗客が乗り込んできたのかは知る術がない。個室に入ってしまえば、外に出るのは、洗面所・トイレと自動販売機に行く程度だ。頻繁に出入りすれば、逆に周囲の個室利用客に少なからぬ迷惑がかかる。静かに個室の旅を楽しもうではないか。新大阪を発ち淀川を渡れば、遠くに大阪の夜景が広がる。次は大阪である。

 大阪駅の到着は4番線ホームなので、眼下にホームが見える。10人から20人程度だろうか、〔彗星・あかつき〕を待っている乗客は数えられるほどだった。新大阪からは寝台特急〔なは〕(西鹿児島行)があるので、そう人数は多くないだろうと思っていたが、10人から20人程度ならなかなかといってよいのだろうか。

 大阪駅を離れ、JR神戸線(東海道本線・山陽本線)の普通列車を追い越しながら、〔彗星・あかつき〕は国内最強とうたわれたEF66電気機関車に引かれて、西へ進む。「DISCOVER WEST」(JR西日本のCM)そのものである。それもCMにはないミッドナイト版である。

 やはり、寝台列車だけあって、電車と違い、停車時と発車時は多少揺れてしまう。EF66電気機関車の運転士さんの腕にもよるが、多少の揺れは仕方ない。〔カシオペア〕に使用されるE26系客車は、揺れを抑えるシステムが取り入れられているそうだ。

 大阪から約20分で三ノ宮に到着した。ここ三ノ宮は1995年1月の阪神・淡路大震災の激震地のひとつである。西ノ宮周辺からは比較的新しい建物が目立つ。そのような建物を見る限りは復興しているように見えるが、凝視してよく見れば、ポツンと空き地があったりして完全に復興していないことをうかがわせる。特に、三ノ宮の2つ手前にある六甲道駅は壊滅的な被害を出した。六甲道駅の真新しいホームが阪神・淡路大震災の凄まじさを物語っている。

 21時24分、週末夜の賑わいをみせる三ノ宮を離れた。新長田駅も阪神・淡路大震災で甚大な被害を受け、改築されている。新長田駅周辺の神戸市長田区は、大規模な火災で阪神・淡路大震災を象徴する地区となった。やはり、こちらも思うように復興が進んでいないのか、高層ビルが建つがやや暗い印象を受ける。だが、がんばってほしい。

 21時50分、姫路到着を前に、最終放送が流れる。別府到着前の6時30分まで車内放送はない。最終放送の後も、〔彗星・あかつき〕は、岡山、倉敷、福山、尾道、三原と停まる。夜が更けていくのにこれだけこまめに停車するにはひとつ理由がある。それは、新幹線との接続である。東京19時50分発の〔のぞみ67号〕広島行と岡山23時19分発の〔こだま695号〕三原行を乗り継げば、〔彗星・あかつき〕に間に合う。「東京19時50分発」の新幹線が「京都20時20分発」の寝台列車に三原で接続するのだから、いかに新幹線が速いかがわかる。新大阪にいたっては、22時29分発の〔のぞみ67号〕である。1時間30分もの差を詰めてくる。そして、〔あかつき〕は博多に6時05分に到着する。時間の有効活用にはうってつけの列車でもある。実際には、そのような利用者は見られるのは皆無に等しいが、大阪では福岡行の最終便よりやや遅くとも間に合う。航空機の深夜便が運行できない「すきま」をうまく埋めるのが、新幹線と寝台列車の組み合わせである。

 個室から外に出るのは、トイレに行く程度だ。だが、ベッドをセッティングすると、そのベッドをはね上げないと、外に出るのは難しい。車内放送で自動販売機が12号車と14号車に設置されている旨の案内があったが、2号車から遠路はるばる12号車・14号車に出向くのはさすがにできない。時間帯が更ければなおさらだ。やはり、ペットボトルで持ち込むのがいちばん便利のようだ。

 姫路、岡山、倉敷と停車すると、時計はまもなく午前0時を指そうとしていた。このあと、福山、尾道、三原と停車すると、客車のドアは下関まで開かない。小刻みな心地よい揺れに誘われるように、ベッドに静かに身をゆだねることにした。

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