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快速〔ムーンライトえちご〕略史

快速〔ムーンライトえちご〕新潟行の行先案内表示

 1982年(昭和57年)11月の上越新幹線の開業により、それまでの上越線の夜行列車、急行〔佐渡〕、〔天の川〕が廃止され、首都圏と新潟を結ぶ夜行列車が全廃された(上野から羽越本線経由で秋田・青森への夜行寝台列車が新潟県内にも停車したが、停車時刻が未明・早朝で「有効時間帯」ではなかった)。

 1985年(昭和60年)に関越自動車道が全通し、廉価な高速バス(昼行・夜行)が運行を開始し(1985年12月)、「高いけど速い(2時間)新幹線、安いけど遅い(5時間)高速バス」の新たな図式が生まれた。

高くて速い「新幹線」vs安くて遅い「高速バス」

〔ムーンライトえちご〕成功の秘訣

 300kmを超える長距離の夜行列車を、なぜ特急列車や急行列車にしなかったのか? 関越自動車道の夜行高速バスがライバルだったほかにない。急行列車や特急列車にしてしまえば、運賃などのほかに特急・急行料金がかかってしまい、相対的に安い夜行高速バスに勝てない。快速にすれば、運賃だけで勝負できる。国鉄時代には考えにくかったJR東日本の経営的戦略のひとつの成功例とも言える。また、東海道本線の「大垣夜行」(東京−大垣間の夜行普通列車)が走り続けていたことも好影響を与えたこともある。

 この他にも、成功の秘訣は隠されている。

  • 「青春18きっぷ」(JRグループの普通列車・快速列車に1日中乗り放題のきっぷ。現在では学生の休み期間を中心に発売されています)でも利用できる
  • 高速道路が延びていない新潟県北部の村上まで延長して、上越新幹線や高速道路の恩恵を完全に享受できない地域もカバーしていた
  • 池袋−新潟間の高速バスは、新潟市内のみに停車し、長岡市などでは、市郊外の高速道路のバスストップにしか停まらない
  • 池袋−新潟間の高速バス(夜行便)よりも座席が倒せて寝やすかった
  • 東京駅からの東海道新幹線下り一番列車や成田空港へのアクセスに便利である
  • 新潟県内の中高生がお金をためて、東京に遊びに行く傾向が強く、快速〔ムーンライト〕は中高生の心をつかんだ
  • 165系電車の3輌編成を1つのユニットとして、混雑期には、2ユニット(6輌編成)、3ユニット(9輌編成)で対応できた

 1987年(昭和62年)4月の国鉄の分割・民営化により発足したJR東日本新潟支社は、根強い人気を誇る首都圏−新潟間の夜行輸送に指をくわえているわけにはいかず、6月30日から7月中旬まで、EF64型電気機関車と14系客車を使用した臨時列車(会員制)を運転した。当初は、時刻表にも掲載されず、いわば「団体列車」のような扱いだったこの列車も、相当な人気を誇ったようだった。

 EF64型電気機関車と14系客車を使用した臨時列車の人気ぶりに好感触を得たJR東日本新潟支社は、上沼垂電車区に所属していた165系電車(当時、急行〔赤倉〕や〔南越後〕などに使用されていた)を改造して、臨時快速〔ムーンライト〕の運転を開始した。改造された165系電車は、車内をグリーン車並みの座席シートと座席間隔にし、車体のカラーリングも3パターンの専用カラーにした。

 1989年(平成元年)3月のダイヤ改正で、新潟−村上間を延長し、新潟県北部の高速道路・上越新幹線の利便性を享受できない地域までカバーし、村上行の快速〔ムーンライト〕から乗り継いで、青森、函館へ向かう「青春18きっぷユーザー」には重宝される列車にまで成長した。

 快速〔ムーンライト〕の好評を受けて、休前日などには6輌編成で、一番混み合う時期には通常の3輌編成を3倍の9輌編成で運転して〔ムーンライト〕人気をフレキシブルに対応した。一時期は、長岡で新井発着の臨時列車を分割・併合し、上越・頸城地域、柏崎地域からの利用客の獲得にも努めたが、現在では長野新幹線の開業などもあり、運転されていない。

 1998年(平成10年)には、東海道本線の「大垣夜行」が快速化されるのに伴い、〔ムーンライトえちご〕と改称した。首都圏から西へ向かう〔ムーンライトながら〕、北へ向かう〔ムーンライトえちご〕。夜行列車が削減されていく中、JR化後に登場した〔ムーンライトえちご〕の成功は、〔ムーンライトながら〕にも少なからず影響を与えただろう。

 本格営業開始以来、165系電車が使用されていた。1997年(平成9年)10月のダイヤ改正で急行〔赤倉〕や〔南越後〕が廃止され、定期列車で運転される165系電車が〔ムーンライトえちご〕だけとなり、隠れた人気列車ともなった。2002年(平成14年)12月のダイヤ改正で下り列車が新潟止まりとなり、2004年(平成16年)3月のダイヤ改正で上り列車も新潟始発となり、快速〔ムーンライトえちご〕の運転区間は、新宿−新潟間となった。

 2003年(平成15年)3月、その165系電車が現役引退し、485系電車6輌編成が後を継いだ。485系電車は2002年(平成14年)11月まで盛岡−青森間で特急〔はつかり〕などに使用されていた車輌で、東北新幹線・八戸開業により新潟に転籍してきたものである。なお、165系電車は〔ムーンライトえちご〕から引退したことによって全廃された。

 485系電車に衣替えした快速〔ムーンライトえちご〕は、新たにグリーン席が設定され、2,000円程度でグリーン席の旅を愉しむことができる。

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